#もの書き お薦め図書2010

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#もの書き お薦め図書2010

#もの書き参加者のお薦めする、読んで面白かった2010年刊行本の紹介。
既に挙げられている本について、お勧めコメントの追加も歓迎です。

  • 「2010年刊行の本」は、新刊書、つまり初刷が2010年中に刊行された本のことです。書籍の奥付記載の日付に依って判断しましょう。
  • 文庫落ち本などでも、文庫版の初刷が2010年中に刊行されていれば可。できれば、その類は、単行本刊行年などが「概要」欄に記されると好ましい(必須ではない)。
  • シリーズものでも、2010年に新刊が出たものは可。新刊中心の紹介を推奨。

推薦書、推薦理由の記入について

推薦書の記入は、「推薦書記入フォーマット」にあるサンプルを、コピーして使うと便利です。

既に挙げられている推薦書ついては、「推薦理由」を他の人も箇条書きで書き足すようにして使っていきましょう。推薦理由末尾へのHN明記は必須とします。その上で、異論、異見の併記も基本と考えます。

推薦書記事の「概要」の項の記述は、「最初に書いた人以外の人が手を入れることもあり得る」とします。末尾にHNを想定してないのは、その意図です。

  • 記入は正式書名の、洋数字、A〜Z、あいうえお、の順でお願いします。
    「正式書名」は、奥付記載のもので、原則、シリーズ名、副題の類を省いた部分とします。巻数は『』の後ろにくくりだすといいでしょう。
  • 翻訳書では、『推薦書名』(著者名著、翻訳者名訳)、と記してください。
  • 編纂書では、『推薦書名』(編纂者名編)、と記してください。

推薦書記入フォーマット

推薦書名』(著者名

概要
推薦理由

推薦書リスト

英数

1Q84BOOK3村上春樹

概要
  • 2010年4月単行本刊行。
  • BOOK3では、新たに「牛河」の章(BOOK1BOOK2には見られなかった)が加わる。「牛河の章」→「青豆の章」→「天吾の章」→「牛河の章」と循環していく章立て構成がとられている。「牛河の章」が加わったことで、全体にサスペンス感がくっきりしている。また、「牛河の章」限定では、アイロニカルでシニカルな精神の退廃、などが色濃く描かれる。
  • BOOK3では、「青豆の章」「天吾の章」は、最終章「(青豆と天吾)サヤの中に収まる豆のように」に収斂していく。
    この展開を通して。主人公格の女性キャラクター青豆と、彼女が「1Q84」と私秘的に仮称してきた世界との関係に、物語上の区切りが1つつく。
    (ただし、同じ展開が、関連する物語上の不確定要因を、明瞭化したり、新たに引き寄せたりもしているが)
  • 主人公格の男性キャラクター、天吾(川奈天吾)は、BOOK3の序盤では、まとまった休暇を採り、療養所がある千葉の海辺の町に投宿。療養所に通い、昏睡した父親への語りかけを続けていく。
    • 天吾と父親の関係の物語は、BOOK1BOOK2でも内容上のまとまりも重みもよかったが、BOOK3では、天吾以外のキャラクターがメインに描かれる章との間で、春樹的(ムラカミスク)な、生霊の物語も差し挟まれる。
推薦理由
  • 『1Q84』BOOK3の読みどころは、「牛河の章」「青豆の章」「天吾の章」の3系統の物語の間に表現されている「世界の異なる相の間の対照感」だ。上辺のお話は、互いに求め合う天吾と青豆のロマンチックラブのお話だし、宗教教団さきがけの動向に起因するサスペンスフルな展開が楽しい。けれど、メロドラマチックなサスペンスストーリーはもっと大きな表現の一部を成している。
    その「大きな表現」とは何か? それを掴むには、BOOK1〜BOOK3を通して読み解くしかない。ことに、人間に依存しながら仮の実体を得る小人族リトル・ピープルが振るう影響力とは何か?? という疑問を意識しながら読み重ねるといい。リトル・ピープル自体は、作品テーマの中核ではないけれど、「主要キャラたちのリトル・ピープル的なものへの抗い」が、『1Q84』作品テーマの輪郭と言えるからだ。
    『1Q84』BOOK3のラストは、上辺はハッピーエンドのようにまとめられているが、語り口には色濃い不安感が感じられる。この不安感の表現が『1Q84』BOOK1〜BOOK3の良いところだ。(鍼原神無

BILLY BAT3巻浦沢直樹 著、長崎尚志 ストーリー共同制作)

概要
  • モーニングKC講談社刊)
  • 2010年3月刊行の3巻には、天正伊賀の乱を主な背景にした「百地武芸帳 二之巻」〜十之巻、他が採録。
推薦理由
  • 「百地武芸帳」では、現代篇(仮称)に出てくる重要小道具「黒蝙蝠写本」の由来が描かれますが。読み応えがあるのは、写本の元になっただろう巻物を運んだ忍者、勘兵衛のドラマの方です。
    「人はコウモリの道具でしかない/だが我々人もただの道具では終わらない」と語る勘兵衛が、コウモリの影を宿すに到ったのはなぜでしょうか(??)。多分、物語がもっと先まで進まないと、はっきりとはわからないだろうと思いますけれど、興味津々です。(鍼原神無

BILLY BAT4巻浦沢直樹 著、長崎尚志 ストーリー共同制作)

概要
  • モーニングKC講談社刊)
  • 2010年7月刊行の4巻には、1960年頃のアメリカを舞台にした一連のエピソードが採録。作中に「マリリン・モンロー自殺」を報じた新聞が描かれているので1962年と考えられる。
  • 主に、暗殺犯として逮捕されたリー・ハーヴェイ・オズワルド(後に狙撃され死ぬ)の物語と、ケヴィン・ヤマガタの物語とが描かれる。2筋の物語は、4巻では直接絡まないが、示唆的描写での同時並行性がサスペンス感を高めている。
推薦理由
  • 4巻の面白みはいろいろありますが、オズワルドの描写で、彼が「英雄」に憧れてる時の表情が、浦沢風描画でいいです。「なんとも言葉にしづらい表情」って奴ですね。後、4巻終盤にかけて増えていく、ドッペルゲンガー疑惑の積み重ねもサスペンス感が楽しいです。後は、コミック「ビリーバット」の作者ってことになってるチャック・カルキンの描写も不気味さがいい。(鍼原神無

あ行

おおきく振りかぶって14巻ひぐちアサ

概要
推薦理由
  • 第14巻、1番の読みどころは、西浦のピッチャー、三橋くんの踏ん張り。13巻で描かれた阿部くんの負傷をきっかけに、三橋くんは、これまでの自分がキャッチャーに依存しきったピッチャーだった、とマウンド上で気づく。そして、踏ん張る!!
    さらに、スタジアムでは、桐青、元主将の河合が、美丞大狭山のコーチ仲沢呂佳の不審な振る舞いに勘付く。こちらの筋は、次巻以降の読みどころとして展開♪(鍼原神無

おおきく振りかぶって15巻ひぐちアサ

概要
  • アフタヌーンKC講談社刊)
  • 雑誌月刊「アフタヌーン」掲載の高校野球マンガ。
  • 2010年6月刊行の15巻では、14巻で決着した夏の高校野球埼玉大会5回戦以降の西浦野球部が描かれる。県下ベスト16入りしたものの敗退した西浦野球部は、新人戦に向けた夏合宿に入っていくが。
推薦理由
  • 県下ベスト16入りしたものの敗退した西浦野球部は、新人戦に向けた夏合宿に入っていくが。改めて野球部の目標を確認することに。1巻で描かれた、新生野球部結成時からおよそ4ヵ月ほど、高一のキャラたちの意識の変化が面白い。「おお振り」の、読後感のさわやかさは、まず、子供たちの伸びしろの広さ(成長力)が、生き生き描かれているとこだと思います。一方で、2回戦で西浦に敗れた桐青の元主将(3年で、夏大敗退後引退)の、「県予選初戦敗退は人生の決定事項だ」「目標と現実の落差と耐えぬいた3年間から逃れられない」「だけどこんなの一生引きずる傷じゃない」なんて思いも描かれてて、一面的なメッセージ・ストーリーに収まってないとこもいい。
    後、15巻巻末には、おそらく著者直筆と思われる、「15巻までの、エピソード、時間経過カレンダー」も収められています♪(鍼原神無

か行

詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。』(古館春一

概要
推薦理由
  • ミステリの骨格持ってるけど、中身は完全にホラー。怪談を作るにあたっての「演出」は"そんなことで"と思う反面、効果とのギャップが上手く描かれている。ってゆーか、語り役2人の"突っ走り"ぶりは見事。一見の価値アリ(笑)(旭屋

群衆の悪魔 デュパン第四の事件』(笠井潔

概要
  • 創元推理文庫(東京創元社刊)、上下巻
  • 2010年8月、創元文庫版上下巻同時刊行
  • 単行本は、講談社より1996年に刊行された。
    2000年刊行の講談社文庫版(全一巻)もあった。
  • 『モルグ街の殺人』、『マリー・ロジェの謎』、『盗まれた手紙』に継ぐ、「デュパン第四の事件」が、1848年の2月革命直後の騒然としたパリを背景に描かれる。
  • 『群衆の悪魔』は、エドガー・アラン・ポーが創作したオーギュスト・デュパンへのオマージュ小説。
    • ポーのデュパンのモデルになった人物が実在していた、という想定のフィクション。
    • ワトスン役で、概ねの視点人物であるキャラクターは、ポーのデュパンもの小説とは別人。
推薦理由
  • 謎解きミステリ、歴史奇譚、オマージュ小説、メタフィクション、思想小説と、様々な読み方を許容する底の深い小説。やや古風な文体は、読者との相性もあるかもしれないけれど、テクニックは堅実なので、さほど読みづらくもないでしょう。
    作品冒頭(2月)、本編末尾(6月)と、2度描かれる、沸き立つような群衆蜂起の描写に迫力がある。さらに、エピローグ相当の「終章」は、ナポレオン派の体制側クーデタによる戒厳令下のパリ。この構成で、群衆蜂起の描写がロマン主義的な英雄史観に流れない。どのような読み方をしても、ここが1番の読みどころになると思います。
    次いで、現在からは盲点になる(歴史的錯視で見えなくなる)、群衆社会端緒期の驚きや戸惑いの感覚をフィクションの次元で再構成している点もいい。例えば、「来世紀(20世紀)になれば、労働者も、朝、時計で起きて、毎日風呂に入るようになるかもしれないですね」「まさか、そんなことがあるのでしょうか?」みたいなね(笑)。左記は本文からの引用ではないのですが、要するにそういう、恒常化していく群衆に対する「当時の(過去時制での)驚きや戸惑いの感覚」が再構成されていて、そこも読みどころ。(鍼原神無

さ行

セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』(前島賢

概要
推薦理由
  • 「セカイ系という言葉」の変遷と、様々な意見が「言葉で言い表そうとした事柄」の変遷、「『セカイ系』を意識した、あるいは関わりを持つ諸作品」が、意見と作品との間の相互影響も含めて、概括的に整理されています。「ポスト・エヴァ」云々の副題は、とりあえずゼロ年代のおたく系文化動向の前史、あるいは起点という位置づけ。
    カバー表4には「アニメ、ゲーム、ライトノベル、批評などなど−−日本のサブカルチャーを中心に大きな影響を与えたキーワード『セカイ系』を読み解き、ポスト・エヴァの時代=ゼロ年代のオタク史を論じる一冊」とあるけれど。これは映画のトレイラー風のハッタリ風味だと思う。
    アタシは、むしろ「前史も含めたゼロ年代のコンテンツ体験の同時代的な整理、証言」として読み、好感を持ちました。細かな点では、疑問や異論、幾つかありますが、著者が提示した観点を前提にするなら、同時代整理としての妥当性は、かなり高いと思います。例えば、「『セカイ系の定義』として一般に流布しているものが、定義の体をなしていない」との指摘は説得的。にも代わらず、「セカイ系」という言葉はゼロ年代を通じてかなりの論点になった、それは何故か? という論旨構成も面白い。
    個人的には、主題について、新鮮な示唆や刺激を受けれました。(鍼原神無

た行

デュラララ!!×7』(成田良悟

概要
推薦理由
  • ×5」、「×6」と続いたゴタゴタが決着した後の後日譚、かな。あ、でも、なんと、矢霧姉弟と張間美夏の話がちょっとだけ進む(笑)。「×6」から登場した粟楠会の赤鬼、こと、赤林さんの話はかっこいいです。そして粟楠茜が武術道場に入門して、折原舞流の後輩に……、多分ここは「いい話」なのかな(??)。最高に笑えるのは、尾ひれのつきまくった噂話を妄信して、平和島静雄の女(ヴァローナ)と、隠し子(粟楠茜)を拉致ろうとするチンピラたちの話、舞流と九瑠璃もいるとこを一群で急襲。静雄と遭遇するまでもなく瞬殺されるのが、自業自得とはいえ、哀れ(苦笑)。このシークエンスは笑えます。セルティは、新羅とバカップルで惚気てる。えー、セーラー服姿のセルティとかも出ます。(鍼原神無

デュラララ!!×8』(成田良悟

概要
推薦理由
  • ダラーズの変質。ダラーズ内から自然発生した粗暴なグループの粛清を、竜ヶ峰帝人がはじめてしまう。黒沼青葉と元祖ブルースクウェアが、ダラーズのメンバーとして内部粛清を実行。それは、ダラーズ外部からみれば、一見、自浄作用のようにも思えるが、ドタチン(門田京平)は、帝人の様子に違和感を覚える。後は、聖辺ルリをつけ狙うストーカーの話を巡って、淀切陣内の描写が徐々に増してる。そして刺傷から復帰した折原臨也は、ダラーズ内に独自グループを結成、悪巧みに余念が無い気配。
    「×8」の「あとがき」を読むと「一応事件自体は一区切りですが、帝人・杏里・正臣の三人に関しては長いプロローグみたいな感じ」らしい。「次巻からは一冊ごとにキャラクターを絞った話にしていく予定」とも。(鍼原神無

天冥の標 2 救世群』(小川一水

概要
ロストコロニーだったりスペースオペラだったりする『天冥の標』シリーズ第2巻。ほぼ現代と言っていい時期での感染症小説。
  • ハヤカワ文庫JA早川書房刊)
  • 『天冥の標』シリーズは全10巻(予定)のSFシリーズ。現在刊行している第1巻『メニー・メニー・シープ』は29世紀の植民惑星でのカタストロフ、第3巻『アウレーリア一統』は24世紀における宇宙に進出した人々の戦い。
推薦理由
  • 2巻単独で推薦しているのは、「致死率が高い謎の感染症が発生し、発症しつつ生き残った人々や、蔓延を防ごうとする人々の奮闘」という視点で見れば、この1冊で完結しているから。パニック小説ではなく、地に足ついた活動が描かれている。(Stella

な行

は行

阪急電車』(有川浩

概要
推薦理由
  • 「電車の中での出会い」によって様々な変化を見せる乗客たちのオムニバスストーリー。ほのぼの出来ます。
    登場人物だけでなく、舞台にも魅力を感じることが出来るのはさすがの作品。(旭屋
  • 「往路」に登場してきた人々のその後が「復路」で描かれる構成。一期一会の大切さに感じ入ったり。(Stella

ま行

や行

ら行

わ行

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