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#もの書きお薦め図書2008
- もの書き参加者のお薦めする、2008年出版の本の紹介
書名 |
著者 |
レーベル |
お薦め理由
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ウェスタディアの双星(1)〜(3) |
小河正岳 |
電撃文庫 |
弱小国家が隣の大国に突如攻められて大ピンチ!というスペースオペラ。キャラの造形がわりかし楽しい。自己保身と大義というのは、自分でも描いてみたいところ。
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絶対可憐チルドレン・THE NOVELS B.A.B.E.L.崩壊 |
三雲岳斗 |
ガガガ文庫 |
まさかの極楽大作戦!!以来の椎名高志作品ノベライズ。オールスター登場で、まさしく東映まんがまつり的な賑わいのある作品。軸となるオリジナルキャラも実に世界観にマッチしていて、安心して読める。椎名高志はノベライズの際の作家に恵まれていると思うのですよ。
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ベン・トー(1)〜(2) |
アサウラ |
スーパーダッシュ文庫 |
スーパーの見切り品弁当を巡る熱い闘いの一大叙事詩、と書くとワケわからないと思うが、そう紹介するしかない作品。圧倒的な迫力が、読者の抱く些細な疑問を全て吹き飛ばしていく。馬鹿馬鹿しいと思えることに対して真剣に直向きに向き合う若者たちという青春群像を、軽いノリで楽しめる。
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女子高生=山本五十六(1)〜(2) |
志真元 |
ワニノベルス |
大規模MMORPGで再現された第二次世界大戦。日本軍の山本五十六を担当するプレイヤーは、なんと女子高生(眼鏡・オーバーニーソ)だった……という仮想戦記もの。ゲーム内ではあくまでオッサンばかりなのだが、女子高生の視点でときどきぼやきが入るのが、絶妙なバランス。MMORPGをネタにするのもなかなかに練り込まれている印象。2巻では、存命中のあのエースパイロットとかあの閣下が登場するので、そういう意味でもニヤニヤできる。
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凸凹騎士と最強王女 |
みかづき紅月 |
メガミ文庫 |
今年はまさに『月刊みかづき紅月』だった作者が、リニューアルしたメガミ文庫で出したライトなファンタジー。飛び跳ねるような元気に溢れたキャラは一般向けでも十分通用することを証明していると思う。
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会長の切り札(1) |
鷹見一幸 |
角川スニーカー文庫 |
自分がわずかなりとも関わったものをお薦めするのはどーなんだ、と思いつつも。統廃合に揺れる3つの高校が、生き残りをかけて勝負をすることに!という学園もの。次々と登場する、特定分野限定の達人たち(高校生)に『蓬莱学園』的な楽しさがある。相変わらず説教くさい部分もあるけど、それも含めてエンターテイメントとして成立している物語。
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書名 |
著者 |
レーベル |
お薦め理由
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低俗霊DAYDREAM(10) |
奥瀬サキ、目黒三吉 |
角川コミックス・エース |
1月に最終巻(10巻)が刊行された。集団自殺決行を計画するグループと、計画阻止のため警察に協力する形になる主人公を描いた「ウェルテル」が決着(7巻から続いた長い物語だった)。10巻採録分は、スピーディーな展開、スリル感、こうでしかあり得ない感の強い結末が印象的。主人公以外の主要キャラの後日譚も好印象。後半に採録された「御呪子(onoroko)」も併せると、「1つの物語の終わりが、別の物語の始まりであるような」完結の仕方になっていて。そこがいい。
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HUNTER×HUNTER(25)、(26) |
冨樫義博 |
ジャンプ・コミックス |
3月に25巻「突入」が、10月に26巻「再会」が刊行された。キメラ・アントの“王”と側近たちが計画する大量虐殺阻止のため、東ゴルドー共和国の“宮殿”に突入する主人公たち。高密度のマルチ・バトルで、主人公と仲間が事前に立てた計算が、予想外の事態や計算外の出来事によってヂリヂリ狂っていき、スリリング。
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PLUTO(6) |
浦沢直樹、原作=手塚治虫 |
ビッグコミックス、他 |
8月に6巻が刊行された。ビッグコミックスの普及版と特装版が出てる。科学技術の粋を集めて作り上げられた高性能ロボットが、連続して破壊され、アトムは機能停止状態に。残る高性能ロボは、光子エネルギーで動くエプシロンと、事件の真相を追うユーロ連邦の刑事ロボ、ゲジヒト。連続事件の背景を掴んだらしいゲジヒト。彼が取り戻したかもしれない、封印されていた記憶を巡る描写が、スリリング。そして、アトムはまだ再起動していない。
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青銅の悲劇 瀕死の王 |
笠井 潔 |
単行本 |
7月に刊行された。「矢吹駆シリーズ日本篇待望の第一作!」と、腰帯に記されていますが。単独作として読めます。おそらく、日本を舞台にした連作の第1作にあたるのでしょう。物語の背景は、1988年年末から翌年年頭にかけての日本。天皇の病状悪化が報じられてた頃、旧財閥に連なる一族の間で連鎖する事件が描かれます。ストーリーは、比較的シンプルですが、謎解きは複雑。つまり、全てを読み終わった後、犯行の動機などを含めて、なるほど、と思わせる納得感があります。他方、ストーリーと比べると、内容も複雑。語り手キャラは、著者ご本人をイメージ・ソースにした、と思える架空の作家ですが。事件をきっかけにして、彼が若い頃関わったラディカリズム(急進主義)の自己批評に至ります。単純な“転向”ではなく、自己批評が、同時に戦後日本の批評でもある境地に達する。そんな回心が感動的。
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イラスト西洋哲学史(上、下) |
小阪 修平、ひさうちみちお |
宝島文庫 |
厳密には、今年刊行の新刊ではないけど。長らく入手が極めて困難だった本が、上下2分冊の文庫判で、9月に再刊されました。哲学史の概説書としては、とても平明。ひさうちみちおさんによる、イラストも楽しい本。「歴史概説で哲学が判るか」みたいな考えもあり得るはずですが。この本の値打ちは、個別の哲学思想の理解よりも、例えば、何世紀もしつこく議論を繰り返しながら、ダイナミックな運動を続けてきた西欧哲学史の、アウトラインを掴み易い点、とかでしょう。書名は「西洋哲学史」だけど、英米系はやや弱く、第6章「大陸合理論とイギリス経験論」で扱われているくらい。古典古代のギリシア哲学には3章が割かれてるので「西洋哲学史」は、概ね妥当な書名。
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女装する女 |
湯山玲子 |
新潮新書 |
12月に刊行された。著者は、出版、広告ディレクター。「この本は、今に生きる女性の欲望の在り方を十通りの方向性で示したものだ」とのこと。広告などで描かれる“女性らしさ”を読みとく本は、何冊もありますけど。この本に書かれてる「欲望の在り方」は、女性自身が選択可能な戦略のタイプを、かなり自由に描いてるように思えて。おもしろく読めました。もちろん戦略は面白くても、実践がうまくいくなんて保障はないんですけど。その辺は、アタシは「読み物」と割り切って読んで楽しめました。
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