サマー・アポカリプス
- 著
- 笠井 潔
『サマー・アポカリプス』は、笠井潔氏による、矢吹駆連作の第2作。
- 作品構成
- (創元推理文庫版、1995年刊に準拠。カッコ内は各章の節構成)
- 序章 セーヌ河岸の狙撃者
- 第一章 異端カタリ派の脅迫状
(1〜3) - 第二章 エスクラルモンド山荘の惨劇
(1〜4) - 第三章 ラヴラネ墓地の銃声
(1〜4) - 第四章 カルカソンヌ城壁の首吊り人
(1〜4) - 第五章 モンセギュール岩峰の死闘
(1〜5) - 終章 トゥールーズ病院の断食者
概略
- 1981年、角川書店より、単行本刊行(単行本書名『サマー・アポカリプス ロシュフォール家殺人事件』)。
灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾—その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。聖書の言葉どおりに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。ラルース家事件の桎梏を束の間忘れさせてくれた友人が渦中に翻弄され、案じるナディア。謎めく名探偵矢吹駆の言動に隠された意図は。
「BOOK」データベースの内容紹介
- 物語は、前作『バイバイ、エンジェル』と、連続性もある。
- 独立した作品として楽しめる完成度は有している。
- 困った事に、前作の核心的な部分についてのネタバレも含まれている。
用語や登場人物
キャラクター
- ナディア・モガール
- パリ司法警察のモガール警視の娘。『サマー・アポカリプス』のテクストの記者、との設定。
- 矢吹 駆
- パリの安アパートの屋根裏で暮らしている素性不明の日本人(自称)。本作の探偵役。
- 用語や人名
- 解説
ガジェット(小道具)
- 用語や人名
- 解説
用語
- ヨハネ黙示録
- 『新約聖書』で、正典構成の最後に収められている教典。救世主(キリスト)の復活昇天から、再臨と神の支配の確立までの出来事が、象徴的な表現(黙示)で、物語的に語られている。この書を正典に数えるかどうかは、古代末期議論が多く、最終的に正典に数えられたのは393年の事。ただし、それ以前も第二正典としては認められる事の方が多かった。
記者のヨハネは、1世紀末頃、小アジアの初期教会で権威を認められていた預言者、と推定されている。古代に遡る伝承では「イエスの弟子ゼベタイの子ヨハネ」と信じられていた。 - 黙示録の四騎士
- 『ヨハネ黙示録』で語られる宗教的なキャラクター。通例、最後の審判の予兆を地上にもたらすものたち、と解釈される。
- カタリ派
- 「中世最大の異端派キリスト教団」と呼ばれる。13世紀前半、アルビジョワ十字軍によって、南仏の拠点が武力鎮圧され殲滅された。カタリ派には南仏の中心地以外では、組織だった教団組織は未整備だったとされる。そのため、教会側に「カタリ派」と呼ばれたが、実は教義思想などがかなり異なる教派も前後して鎮圧された。また、教会側の誹謗、民間の妄想的な伝承、カタリ派側の理想化された伝承などが入り混じって、様々なフィクションが伝えられている。カタリ派の起原についても、キリスト教内の異端派説、キリスト教外の異教起源説などがあり、ルーツを巡る議論自体が学説史をなしている。
- カタリ派の聖地
- 作中言及のあるモンセギュール岩山の城砦は、実在の土地。アルビジョア十字軍が、カタリ派を武力鎮圧した時、最後まで信徒たちが立て籠もって抵抗した地があったのも史実。
- ラルース家事件
- 矢吹駆連作の前作(第1作)『バイバイ、エンジェル』で扱われた連続殺人事件の事。
- 用語や人名
- 解説
関連する用語
- 矢吹駆連作
- 著者自身の短文や、解説文などでは、なぜか「シリーズ」ではなく「連作」と記されることが多いようだ。
メモ
- 作品の経緯
- 1981年、単行本刊行(単行本書名『サマー・アポカリプス ロシュフォール家殺人事件』。
- 1984年、角川文庫版刊行。
- 1990年、作品社から刊行の合本『天使/黙示/薔薇』に採録。
- 1996年、創元文庫版刊行。
書誌情報(関連作品)
サマー・アポカリプス
(ハードカバー単行本『サマー・アポカリプス ロシュフォール家殺人事件』,角川書店,1981年刊)
(角川文庫『アポカリプス殺人事件』,1984年刊行)
(ハードカバー単行本『天使/黙示/薔薇』,『バイバイ、エンジェル』、『薔薇の女』との合本,作品社,1990年刊)
(創元推理文庫『サマー・アポカリプス』,1996年刊行)
話題まとめ
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