おおきく振りかぶって 4巻

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おおきく振りかぶって』4巻(アフタヌーンKC

ひぐちアサ

『おおきく振りかぶって』4巻は、アフタヌーンKCから刊行されている軽装版マンガ(コミックス本)。ひぐちアサ著の、高校野球を題材にした作品。

4巻では、高校野球夏大会の埼玉大会に向けて、新生西浦野球部が、本格的に練習を積んでいく様子が、丁寧に描かれていく。
エピソード第9回(3巻)で、花井を主将に選出するなどした野球部は、「ちゃくちゃくと」活動を続け、練習試合も全勝。しかし、そんな彼らの前に立ちはだかる障害は「試験週間」だった(!!)。
「赤点取ったら試合出してあげらんないからねっっ」と、女監督モモカンが、ピッチャーの三橋と、主力選手の田島に、ひきつった表情で迫る(笑)。

  • 『おおきく振りかぶって』アフタヌーンKC版 第4巻は、2005年刊行。
  • 採録エピソードは、雑誌月刊「アフタヌーン」2004年11月号〜2005年2月号掲載分がメイン。
    • 第10回「春が終わる」
    • 第11回「夏がはじまる」
    • おまけ「小2の秋・2」
      三橋の小2時代のエピソード。
    • その他=カバーは外すと、表1と表4に、おまけマンガ「ビデオのとり方」が刷られてるらしい(あらゆる刷で共通かは不明)

用語や登場人物

第10回「春が終わる」

1年生の部員10人と、やはり1年の女子マネジ1名でスタートした西浦高の新生野球部は、「ちゃくちゃくと」夏大会への準備を進めていく。週末にダブルヘッダーで組んだ練習試合は、対戦校に強豪はないものの全勝してきた西浦チーム。
そんなある日、試合後の反省ミーティングで、モモカンが「みんな勉強してる?」と言い出す。「いーすよ勉強の話はー!/なんで先生みたいなこと言うんスかー!」と田島。「……だ」「だって……」と、珍しく口ごもり小さくなるモモカン。その後ろで、ミーティングの様子を腕組みをして見ているシガポ。2人の様子を見て、部員たちはみな“あ、あぁ〜”と、納得するのだった(笑)。

モモカン(百枝まりあ)
西浦に昔あった軟式野球部のOGで、新生硬式野球部の若き女監督。4巻巻頭のエピソード第10回では、「なんで先生みたいなこと言うんスかー!」と田島に言われ、珍しく口ごもった後「でもね! 野球一生懸命やるには勉強しとくことも大事なんだよ!」と、切り出す。
モモカンの話は、概略「成績が落ちると、野球をサボる格好の口実になる」「授業についてくくらいの努力はしとくこと!!」と、いったもの。「ゆっとくけど部活サボッても勉強はしないよ」と、語るモモカンの話を、阿部や花井らは、“やけにリアルだな”、“体ケン談か?”と、聞く。
  • エピソードの第11回では、モモカンは、高校野球夏大会の抽選会で西浦が初戦の相手に強豪の桐青高校を引き当てた直後頃、会場に現れる。意気消沈してる様子の泉に、「弱気はダメ!!」と言いながら、突然後ろから頭を鷲づかみに。
    (モモカンの「お鉢掴み」は、彼女が部員たちに活を入れる常套手段の1つになっていた)
    田島の発言をきっかけに、阿部が桐青に勝つための戦略を提案すると、モモカンも「それで行こう!」と賛同。「でもそのためにはまだやるべきことがあるよ」と、練習時間の延長を提案。朝は5時集合、夜は9時あがり、という提案に圧倒させる部員たちだが、肉体労働のバイトもしているモモカンの、本気で勝つ気の意気込みに引き込まれていく。
シガポ(志賀剛司)
本名、志賀剛司。西浦高の数学教師。三橋たちが入学した年に、新設された硬式野球部では責任教師(部長教師)。
野球部のグラウンドや試合では、もっぱらモモカンのサポートに回っているシガポだが、試験週間の準備については、モモカンの背後から無言の圧力(笑)をかけている様子。
  • 4巻から導入される応援団との関係でも、野球部の活動と、学校側との間の調整や仲介は、もっぱらシガポがきめ細かくおこなっているらしい様子が、暗示的に描写される。
田島悠一郎
西浦新生野球部のサードで、控え捕手。関東各地から選手が集まる強豪シニアチームの出身。小柄だが、抜群の運動能力と、野球センスを持つ。モモカンの評価では、素材のレベルが違う、ナンバー1選手。
学業の方は全学科壊滅的。練習後、花井に試験のことを「どれくらいヤバイの」と訊かれると「どんくらいヤバイかわかんないくらいヤバイ」と応える。
  • エピソード第11回で田島は、夏大会の初戦相手の桐青高校に「勝てねぇかな?」と言い出し、他の部員たちに驚かれる。「だってオレらここまで全勝じゃん」と言う田島に、沖(どーやったらそう思えんだ?)、栄口(のー天気なの? それともなんか見えてんの?)、沖(バカなの? やっぱ天才なの??)などなどの反応。
    田島が言う「全勝」は、抽選会までに西浦野球部がこなしてきた練習試合の戦績。だが、それが「1年生だけの西浦を相手にしてくれるチームに対する戦績」であることは阿部が指摘。田島は「阿部も弱気か?」と尋ねるが……。
三橋廉
新生西浦チームの正投手。
性格は、気弱で根暗で、自信がなく優柔不断で卑屈。言語不明瞭なうえ、よく挙動不審になる。
とり得は、ともかくピッチングが好きなことと、ピッチャーズ・マウンドへの執着心。努力は人一倍するが、我流の無茶なトレーニングも重ねていた。
学業は、田島と共に全学科壊滅的。
エピソード第10回で三橋は、急遽全員参加の流れになった勉強会の場所に悩む花井主将に、珍しく積極的に、自宅を会場にするよう提案。三橋の自室は結構広いのだ。読者にとっては意外でもないが、私立三星理事長を祖父に持つ三橋の家は、比較的裕福なのだった。
  • エピソード第11回の冒頭パートで三橋は、夏の高校野球埼玉大会の組み合わせ抽選会会場のトイレで、武蔵野第一の榛名元希、秋丸恭平と遭遇。三橋が西浦のピッチャーと聞いた榛名に「お互いがんばろーな!」と、言われ、榛名の速球に憧れる三橋としては大感激。
  • 第11回で、抽選会で夏大会初戦の相手高が、強豪桐青に決まると、三橋は“現実ってキ……キビシイなァ”と意気消沈。しかし、露出の多い桐青相手なら、作戦が組めると言う安部に、「こいつが完封してくれる!」と言われ、目を剥く。
花井梓
西浦の新生野球部部員。3巻採録のエピソード第9回で、主将に就任。
モモカンから、三橋、田島の試験対策をめんどうをみるように指示される花井は、「か……/監督の助けはナシですか?」と訊くが、試験休み中は夜通しのバイトを入れてしまって時間の都合がつかない、と聞かされるとあきらめて、「が……/がんばってください」と言う。
  • エピソード第11回で描かれる夏の高校野球埼玉大会の抽選会で、花井は、初戦にBシードの桐青高校との試合(第2試合)を引き当ててしまう。
突発勉強会
モモカンから、三橋、田島の試験対策のめんどうをみるよう指示された花井は、練習後つきえる奴が、それぞれの得意科目を三橋、田島に教えるプランを提案。しかし、あっと言う間に、10名の部員全員が、互いに得意な学科を教えあう勉強会に主旨が変わってしまう。
  • 突発勉強会をすることになる日は、たまたま三橋の誕生日だった。三橋は、そのことをチームメンバーには言わずにいたが、偶然と勘違い、そして田島の機転も重なり、勉強会の直前、簡単な三橋の誕生日祝いが短く部員たちによっておこなわれる。
西広辰太郎
新生西浦野球部の部員。中学時代は陸上部に属していた野球初心者。運動神経は良い。
学業成績は優秀。赤点回避の突発勉強会では、三橋、田島専任で勉強をみるよう花井が手配。
花井曰く、「聞いたところ西広先生は/わざわざ試験のためには勉強をしないという強者だ!」と紹介。さらに「何でも教えてくれるぞ!」。特に苦手な科目も無いらしい。
三橋母
フルネームは、三橋尚江。西浦の卒業生。
共稼ぎなので、突発勉強会になった日は、野球部員一同が廉の部屋に上がり込んでから帰宅。ところが、友だちを連れてくると携帯で聞いた時、たまたま廉の誕生日だったことから勘違い、あれこれ食料を買い込んで来てしまう。中学時代の廉は、学校(三星)に近い群馬の親戚の家に寄宿していた。友だちが家に来るのも始めてのことで、はりきった様子だ。三橋は、意図せずに、サプライズ・パーティーを自己演出した形になってしまう(笑)。
  • エピソード第11回で、始めてモモカンに会った三橋母が挨拶すると、モモカンは「あー、やっぱりー!/似てますよねー!」とコメント。
    第5巻でも、数年ぶりに三橋母と再会した浜田も、似た者親子、と感じる)
三橋の投球練習場
三橋の自宅の庭にある、手製の投球練習場。突発勉強会で三橋宅を訪れた時、阿部が気づく。
金属フレームにネットを被せ、その前にストライク・ゾーンを9分割した木製の的がガムテープで下げられている(定かではないが的の位置を上下に微調整できるかもしれない)。手作り感あふれる設備で、特に木製の的は使い込んだ感じ。ガムテープは、何度も貼りなおされていて、阿部は、三橋が帰宅した後も、調整スケジュールを考えずに、自分で投球練習をしていることを察す。
  • 投球練習用の「的」は、まだ小二の頃の三橋が父親にせがんで作ってもらったのが最初であることは、4巻巻末に採録の「おまけ」マンガで読める。ただし、軟球を硬球に切り替えた後、最初の的は廃棄された。
阿部隆也
西浦野球部の正捕手で三橋とバッテリーを組んでいる。地区ブロック1と言われたシニアチーム出身。
突発勉強会で、はじめて三橋宅を訪れる阿部は、庭の隅の投球練習場に気づく。勉強会が即席で三橋の誕生会になり、食事を済ませたところで、部員たちを庭に誘う阿部。部員たちの見ている前で、三橋の制球力を実地で示すようリード。ストライクゾーンを9分割した「的」で、阿部の指定どおりのエリアにボールを当てる三橋をみて、部員たちは、話には聞いてたけど、ほんとに100発100中なんだ、と息を呑む。阿部は、三橋の努力を全部活かしてやりたい、とあらためて思うのだった。
  • エピソード第11回では、抽選会会場で、三橋が榛名に「お互いがんばろーな!」と言われたと舞い上がってる様子に、阿部は“見下されてるのがわかんねーのか”と、面白くない。榛名に含むもののある阿部は、“80球しか投げねェてめとこいつじゃ/がんばるトコロが違うんだ!”“さっさと負けて/お前が今日見下した投手で勝ち上がってく西浦を見てろ!”と、敵愾心を燃やす。
  • 第11回では、抽選会会場で、これから抽選に臨む花井が、田島との会話で「いきなりCシードなんか(ひきあてるのは)ヤだよ」と言っている(「Cシード」は武蔵野第一のこと)と、傍から阿部が「イヤがってると引きそうだなぁ」「花井クジ運悪いだろう」とと口を挟む。「これからクジひく人間にそーゆーことゆーなっ」と、花井。このやりとりを聞いていた他の西浦部員たちからは、「あべってけっこうヤなヤツだよなぁ」「アベはひどいヤツだよ」と言ったコメントが複数聞かれる(笑)。
  • 第11回では、抽選会で夏大会初戦の相手高が、強豪桐青に決まると、阿部は、露出が多い学校だからデータを集め、「バッテリーのクセとバッターのクセ分析して/あとは守備でへんなミスさえしなきゃ」「こいつが完封してくれる!」と三橋を指差す。

第11回「夏がはじまる」

エピソード第11回「夏がはじまる」では、6月に入り、夏の全国高等学校野球選手権の埼玉大会組み合わせ抽選会がおこなわれる。主将の花井は、初戦の相手に強豪の桐青高校を引き当ててしまう。桐青は、昨年夏、甲子園に進み、今年の夏はBシードに選ばれていた。
ほとんどの部員たちが初戦負けを予想する内で、田島が「勝てねぇかな?」と言い出し、阿部が勝ちに行く戦略を提案。モモカンが「それで行こう!」と賛同。チームは、練習時間を増やし、対桐青戦に向けてトレーニングを重ねていく。

栄口勇人
新生西浦野球部で基本ポジションは二塁手。シニア出身だが、本人は出身チームのことを「弱い」と、言っている。
副主将として内野の中心を任された栄口だが、心配症でデリケートな面がある。抽選会会場でも、入場待ちで並んでいる内に、緊張から神経性の下痢に。列を離れて先にトイレへ。この時、付き合った三橋が、トイレで武蔵野第一の榛名と出くわすことに。
  • 栄口は、西浦受験の時も下痢になったそうだ。
榛名元希
武蔵野第一高校野球部員。阿部や三橋とたちより1学年上のキャラクター。シニア時代、阿部と同じチームでバッテリーを組んでいた。西浦に新生野球部が出来た年の春大会では、弱小の武蔵野第一を躍進させた投手として、注目されている。
抽選会場のトイレで鉢合わせた三橋が西浦の投手と知った榛名は、三橋の体格をしげしげと見ると、余裕の上から目線で「お互いがんばろーな!」と、言う。三橋の方は、榛名の速球に憧れているので感激してしまう。
秋丸恭平
武蔵野第一高校野球部員。
エピソード第11回で、栄口にトイレットペーパーを探すよう頼まれた三橋が、あたふたとトイレを飛び出そうとして、榛名にぶつかり、揉めそうになる。そこに「こんな関係者だらけの場所で荒い声 出すな!」と、仲裁して入るのが秋丸。オレ様的言動の榛名にもタメ口を聞く親しい様子で登場。
  • 秋丸は、榛名が中学時代まだ野球部にいた頃のチームメイト。タメ口の様子から、おそらく同学年だろうと思える。武蔵野第一では控え投手。
    (実は、中学以前から榛名の幼馴染だったことは、物語の先の方で描かれる)
千朶高校
作中の埼玉県の高校野球でARC学園と競う実力を誇る強豪高。春季関東大会で優勝し、夏の県大会のAシードに入った。
ARC学園高校
作中の埼玉県の高校野球で千朶高校と競う実力を誇る強豪高。春季関東大会で準優勝し、夏の県大会のAシードに入った。
桐青高校
西浦に新生野球部が発足する前年度、夏の甲子園へ出場した強豪で、キリスト教系の私立中高一貫校。春季県大会で勝ち進んでBシードに入っていた。エピソード第11回で描かれた抽選会で西浦の主将、花井は初戦の対戦相手に桐青を引き当ててしまう。
武蔵野第一高校
榛名、秋丸が野球部に属している高校。野球では無名高だったが、抽選会の前年度後半から躍進してきた。春季の県大会ではARC学園高校に負けたものの、ベスト8入り。夏の県大会ではCシードに。
加具山直人
武蔵野第一高校野球部員。
抽選会の時点では3年生。榛名の上級生だが、性格や野球にかける意気込みでは押され気味。春大会で準々決勝まで進出(ARC学園に敗退)したことから、抽選会場で「目指せ“準決”!」と気合を入れた(つもり)が、隣席の榛名に「それをゆーなら“目指せ甲子園”でしょー」と突っ込まれ、「オレって人間がちいせーのかもな〜〜」とメゲる(笑)。
泉孝介
新生西浦野球部の外野手。中学時代は野球部に属していた。三橋、田島と同じクラス。
第11回で描かれる抽選会で泉は、初戦の相手に強豪桐青を引き当てた花井をみて、会場で“1年の夏は初戦負けか”と、ため息をつく。遅れて会場に来ていたモモカンに、突然後ろから「弱気はダメ!!」と頭を鷲づかみにされる。モモカンの、片掌で夏みかんを握りつぶす握力で締め上げられ悲鳴をあげながら“心読まれた〜”と、おののく。
河合和己
桐青高校3年。物語内の今時点で、野球部主将で正捕手。
一昨年の夏は、先輩たちのまさかの第1回戦敗退をスタンドで目の当たりにしていた河合は、初戦相手が西浦と決まった会場で安心している気配の部員たちに「去年と同じ道がオレたちにも用意されてる−−/なんて錯覚すんなよ?/夏大には道なんてないぞ」と、告げる。
浜田良郎
西浦の生徒で、三橋、田島、泉のクラスメート。エピソードの第11回で、三橋らが抽選会場から学校に戻ってきたところで初登場。実は浜田は、三橋が小2の頃、同じアパート(山岸荘)に住んでいた幼馴染の「ハマちゃん」だった。浜田は、本来なら三橋らより1学年上だったが、留年して同学年になっていた。三橋はそのため、浜田の方から尋ねられるまで、記憶の内のハマちゃんとクラスメートの浜田が結びつかずにいたのだった。浜田は、野球部員の泉と小中が同窓の先輩後輩だったが、今やクラスメートの泉は浜田に平然とタメ口をきいている。
浜田自身は、ダブりの理由を訊く田島に、「バカ」と称す(しかし、少し後、元同学年の生徒には留年の理由を「汚れた過去」と言われても特に否定しない)。
浜田は、抽選会から戻ってきた三橋や花井たちに「野球部の応援団つくってもいいかな」と切り出す。
  • 応援団のことで部員たちにシガポ(志賀剛司)と引き合わされたらしい浜田は、「応援団てスゴク大事なんだよ」「一度 朝練に参加してくれるかい!?」と言われ、早朝練習に顔を出すことに。
  • 顔を出した朝練で浜田は、モモカンからも「応援団てスゴク大事なんだよ」と言われる。「スタンドを常に前向きにしといて欲しいの!」とも言われ“去年の優勝校と当たるってのに/勝とうとしてる……!”と、モモカンの熱意に感じ入る。
  • 浜田は手先が器用で、応援用の横断幕も、文字の縁取りを1人で刺繍する。
    (実は、家庭の事情で一人暮らしをしていることは、物語の先第11巻で読者に明かされる)
ギシギシ荘(山岸荘)
小2の頃の三橋が両親と住んでいた木造2階建ての古いアパートが山岸荘。あまりに古いので、住人からも「ギシギシ荘」と呼ばれていた。ここで、三橋は、ハマちゃん(浜田良郎)らと友だちになり、野球の楽しさを知った。
三橋の家は、比較的裕福だが、実は両親は駆け落ちをしていて、ちょうど三橋が小2の頃まで貧乏暮らしをしていた。そんな三橋にお古のグローブをくれたのがハマちゃんだった。
その後、三橋家は“大きな家”に引越し、廉も小学校を転校。転校先では友だちが出来ず、野球をしたくて自転車でギシギシ荘まで行ったが、すでに取り壊されていた様子は、エピソード第11回中盤の三橋の回想で描かれる。さらに、とり壊されたギシギシ荘から家に帰った廉が、父親に投球練習用の的を作ってもらった様子が、4巻巻末採録の「おまけ」マンガで描かれる。
サードランナー
西浦野球部の部員たちは、シガポの指導で、意識的にリラックスを誘導するメントレを重ねてきている(2巻採録エピソード第6回以降)。第4巻で描かれた浜田も参加した日の早朝練習では、試合時にリラックスを誘導できる条件付けをしていく、という次段階のメントレが描かれる。部員たちの発案も取り入れて、採用されるのが「サードランナー」を目にすると、心身をリラックス状態にもっていく、という条件付け。シガポ曰く、マラソンランナーなら一番苦しい35キロ付近の風景とリラックス状態を条件付けるような訓練の応用。
西浦野球部応援団
シガポ、モモカンの了解を得て、浜田がはじめる野球部応援団は、足の速い生徒をランナー役として、野球部の守備想定練習に参加するなど、地道なところから応援。
浜田は、留年する前に同学年のクラスメートだった、梅原、梶原をリーダー員にする。
そして、1年生やその家族を中心に200人を初戦の対桐青戦の応援に動員するのだった。
花井母
フルネームは、花井きく江。
夏の高校野球埼玉大会開会式に三橋母を誘う電話で初登場(エピソード第11回)。
  • 開会式会場で、三橋母と共にモモカンと始めて会う花井母は、花井が、今の野球部で「ホントに楽しいみたい」と言い、家で「監督や先生のことをほめる」「中学ではそんなことなかった」とも語る。
  • 花井母は、開会式会場で三橋母と相談し、野球部の父母会を作ることにした、とモモカンに語る。
篠岡千代
西浦野球部の女子マネジ。モモカンが個人的に録画していた、春大会時点の桐青の試合ビデオを解析。バッテリーのリードと投球、各打者の打席、立ち位置、見送った球、手を出したボールカウント、球種やコースなどなど、高校野球マニアぶりをいかんなく発揮したデータを作成する。
  • エピソード第11回で描かれる、夏の埼玉大会開会式では、スタジアムで中学時代の先輩と会う篠岡が描かれる。この場面では、先輩との会話に篠岡が中学時代ソフト部員だった様子が織り込まれている。篠岡は、開会式で更新するチームメンバーを観て感動。
高瀬準太
桐青高校野球部の政投手。2年生。
桐青・西浦戦
桐青・西浦戦は休日(土曜日かもしれない)の朝一番からの試合が組まれていた。エピソードの第11回では、両チームがベンチに入る辺りまでが描かれる。
降水確率80%の曇天。試合に臨む西浦のスターティングメンバーは、1番センター泉、2番セカンド栄口、3番ショート巣山、4番サード田島、5番ライト花井、6番ファースト沖、7番レフト水谷、8番ピッチャー三橋、9番キャッチャー阿部。西広はベンチ要員としてモモカンの補佐。
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