おおきく振りかぶって 8巻

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おおきく振りかぶって』8巻(アフタヌーンKC

ひぐちアサ

『おおきく振りかぶって』8巻は、アフタヌーンKCから刊行されている軽装版マンガ(コミックス本)。ひぐちアサ著の、高校野球を題材にした作品。

8巻では、5巻から描かれだした、高校野球、夏の埼玉大会の2回戦、桐青高校対西浦の試合がついに決着。試合の翌日、西浦の球技大会の日の部員たちを描くエピソードも採録。

  • 『おおきく振りかぶって』アフタヌーンKC版 第8巻は、2007年刊行。
  • 採録エピソードは、雑誌月刊「アフタヌーン」2006年2月号〜2006年4月号掲載分がメイン。
    • 第15回「決着!」
    • 第16回「ひとつ勝って」
    • おまけ
      著者による高野球ミニ解説集
    • 巻末に1見開(2頁)の「次巻予告」も
    • その他=カバーを外すと、表1と表4に、おまけマンガ「ある夏の日のマネジ・2」が刷られてるらしい(あらゆる刷で共通かは不明)

用語や登場人物

西浦・桐青戦
夏の高校野球埼玉大会の西浦・桐青戦は、西浦野球部の初戦。この年、正式な活動をはじめたばかりの新生西浦野球部にとり、初の公式戦でもあった。一方、対戦相手の桐青は、昨年夏、甲子園に進んだ強豪校。新設西浦にもレギュラー選手でスタメンを固めてきた。序盤、投手高瀬の不調もあり予想外の先取点を許した桐青は、本来の力を発揮。しかし、桐青の野球を詳しく分析してきた西浦も食い下がり、8回の裏終了時点、3対4と、1点リードされている西浦だが。

第15回「決着!」

西浦野球部
1年生の部員10人と、やはり1年の女子マネジ1名でスタートした西浦高の新生硬式野球部。以前は軟式野球部があったが、数年間活動は休止していた。若き女監督モモカン(百枝まりあ)は、軟式時代のOG。
桐青高校野球部
野球の強豪校らしく部員数が多い。ベンチに入りきらないユニフォーム姿の部員たちが、スタンドで何列にも並び、踊り付きの応援を演じる。桐青高校は、キリスト教系の私立中高一貫校。春季県大会で勝ち進んでBシードに入っていた。
阿部隆也
西裏野球部の正捕手。対桐青戦での打順は9番。
9回の表、西浦最初の打席に立つ阿部は、塁線ぎりぎりフェアになるヒットで内野を抜き、外野に止められるが、ナイスランで一塁に進塁。
  • 9回の裏、桐青最初の打者、真柴にシュートを打たれ、ピッチャーズマウンド上でヘタリ込む三橋だが、阿部は「投げらんねぇなら替わってくれ!!」と告げる。「ここは三星じゃねェからな!/投げらんねェなら沖にでも花井にでもマウンド譲れ!!」とも言うが、立ち上がって正面を向く三橋を観て、“よし目が定まった!”と、グローブを構える。
    言葉とは裏腹に、胸の内では“そのプレッシャー受け入れろよ!”と三橋に語りかける阿部は、2番めの打者用に、速球のサインを出す。
  • 試合後、三橋がシガポ(志賀剛司)にコンディション・チェックを受けてる間に寝込んでしまった横で、阿部は田島に「こいつ今日おかしくなかったか/妙にとばしてるっつーか」と訊く。田島の「そうおかしかった!/なんか表情がくっきりしてて声もでかかった!」という返事を聞き、阿部は“やっぱ気のせいじゃなかったか/今日の三橋のハイテンションがなきゃ桐青はしのげなかっただろうな/ぶったおれて道理だぜ”と、思う。
花井梓
西浦の野球部員で主将。対桐青戦では、ライト。打順は5番。
9回の最初の打席の阿部をベンチで応援する花井は、思わず「振れよ、いい球」と愚痴り、傍にいる栄口は、強豪桐青相手の、花井の勝つ気に鼓舞される。
  • 9回の表、西浦6番めの打席に立つ花井は、一球めのシンカーに呑まれてしまい、速球を見送り、凡退してしまう。
  • 9回の裏、花井は、桐青の青木の打球をアウトにとったセンター泉からトスで受け、ダイレクトにバックホーム。阿部がキャッチし、真柴をアウトにとる。
  • 試合後、西浦チームを訪ねてくる桐青の河合は、花井に「最後のバックホームすごかったっす/1年生だけでこの強さなら/本気で狙ってった方がいいすよ/甲子園」と告げられる。
    桐青のマネージャーたちが折ったという千羽鶴と託される花井は、河合の目が赤いことに気づく。“でけェ体/大人みたいな顔・態度/オレ達何かスゲェことをやっちまったんじゃねェのか−−−?”と、思う。
泉孝介
西浦の野球部員。対桐青戦では、センター。打順は1番。
9回の表、西浦2番めの打席に立つ泉は、バントの構えからプッシュ。雨にぬかるむグラウンドで、ピッチャーをうまく抜き、無死、一、二塁に。
河合和己
桐青高校3年。物語内の今時点で、野球部主将で正捕手。背番号2。対西浦戦では、打順5番。
桐青監督が、ピッチャー(高瀬)のモーションを見切っている西浦選手は田島だけ、と見抜き、キャッチャーの河合は、9回表、田島がコーチャーズボックスに立つ間の盗塁を厳しく阻止していく。
  • 9回の裏開始直前、河合は、「今のこの点差/試合前に予想していたヤツはいるか/まァいねぇよな」と、選手たちを諭す。そして、逆転、あるいは、同点での延長を命じる檄を発す。
  • 5対4で負けた直後、ベンチから引き上げようとする河合は、「スンマセンでした」と言う高瀬に、「お前があやまることはいっこもない」と、応える。逆に、「力 足りなくてごめんな/お前をもっと投げさせてやりたかった!!」と、高瀬に詫びる。
栄口勇人
西浦の野球部員。対桐青戦では、セカンド。打順は2番。
9回の表、西浦3番めの打席に立つ栄口は、バントを狙う。ベンチからの伝令に、しばらく前から高瀬がフォークを投げていないというモモカンの伝言を伝えられ、犠牲バントを成功、一死、二、三塁に。
(高瀬がフォークを投げないのは、雨によるすっぽ抜けを避けてのことだった)。
巣山尚治
西浦の野球部員。対桐青戦では、ショート。打順は3番。
9回の表、西浦4番めの打席に立つ巣山は、二球、速球を空振り、決め球のシンカーを見送ってしまい凡退。
田島悠一郎
西浦の野球部員。対桐青戦では、ショート。打順は4番。
9回の表、西浦5番めの打席に立つ田島は、バッテリーからの厳しいマークを続けられ、連続するシンカーで追い込まれるが、3球めを奇策で打つ。阿部、泉とホームに生還し、5対4に逆転。田島自身も一塁へ。
桐青の監督
名前は未詳。
田島の逆転打をみた監督は、“あのバッターを敬遠させなかった俺の責任だ!”と、思う。
  • 9回の表が終わった時点で、監督も“あったま来ることだが/あのストレートが温存された決め球なのは間違いないようだ”と、認める。
三橋廉
新生西浦野球部の正投手。
9回の裏、登板する三橋は、“オレが打たれなければ/勝てる”と、戦くような表情をみせる。
桐青は、8回までの攻撃と打って変わり、いずれの打者たちも、三橋の「まっすぐ」に絞って攻略を狙ってくる。まっすぐを投げることに怯える三橋に業を煮やした阿部は、最初の打席の3球めに変化球を指示してやるが、これはバントで一塁出塁を許してしまう。
自分は攻略されてしまった、と思い、ピッチャーズマウンド上でヘタリ込む三橋だが、阿部に「投げらんねぇなら替わってくれ!!」と、言われ、立ち上がり、“ここを誰にも譲りたくない”と、正面を向く。
  • 3番打者島崎に、まっすぐを打たれ、4番打者青木を迎える三橋は、負けを予想しすくむ、が、バックからの声援を受ける。自分がすでに桐青に攻略された投手だ、と思っている三橋は、“もう球のスピードも回転数も落ちて/それでも投げてるイヤなヤツに/なんでやさしいこと言ってくれるんだ!?”と、戸惑いながらも、まっすぐを投げる。
  • 試合後、三橋は、ベンチに横たわって、シガポ(志賀剛司)のコンディション・チェックを受けている間に寝入ってしまう。「うわー信じらんねェ/子供みてえ/よく燃料0まで動けんな」と田島。
  • 寝込んでしまった三橋を見たモモカンは、三橋の母に、「今日は息子さんまっすぐ連れて帰ってください」と頼む。
    寝たままの三橋を後部座席に乗せ、帰宅する車中で、三橋母と瑠理は、廉の脱力しきった寝顔を観て笑う。
真柴迅
桐青高野球部部員。対西浦戦で、ただ1人スタメンに選ばれた1年生。サードで打順は1番。
9回の裏、桐青最初の打席に立つ真柴は、三橋の「まっすぐ」の球筋を見極めようと、初球、2球めをバントの構えで見送る。3球めのシュートをバントし、一塁に出塁。次打席の松永に対する初球の時に二盗も成功させる。
  • 4番めの打者青木のヒットがアウトになり、真柴は三塁からホームに走るが、泉からのトスを受けたライト花井のバックホームにさされ、真柴もアウトに。
沖一利
西浦の野球部員。対桐青戦では、ファースト。打順は6番。西浦の控え投手の一人。
桐青の真柴にシュートを打たれた直後、へたり込む三橋に、阿部が「投げらんねぇなら替わってくれ!!」と言うのを聞いた、沖は、立ち上がった三橋にボールを渡しながら“阿部めェ”と思う。

“阿部めェ/流れ上替わりたくなんかないんだよとは言えないし/ホラ三橋が見てるよ〜〜”
“……うん/こんな場面で投げんのなんかイヤすぎだよ/もし立場 逆ならオレは喜んで交代しちゃうね”
“……だって自信ないよ/……/三橋も自信はないのか/しかも超ビビリだ”
“けど投げたがる/あんなのもう投球中毒だって”
“そーゆーヤツの後ろは/スゲーやる気出るけどな!”

松永雅也
桐青高野球部の3年。対西浦戦では、レフトで打順2番。
9回の裏、桐青2番めの打席に立つ松永は、「まっすぐ」の球筋を見極めようとするが、できず、凡退。「普通の球にしか見えねぇ/なんで当たんないのかわかんねエっ」と歯噛みしながら、次打者、島崎と交代。
島崎慎吾
桐青高野球部の3年。対西浦戦では、セカンドで打順3番。
9回の裏、桐青3番めの打席に立つ島崎は、前打席で「まっすぐ」を3球観ている経験から、バントでの攻略を試みる。3球目を捉えた打球は、打ちあがるが、グラウンドのぬかるみもあって内野にミスが。島崎は一塁へ、一死、一、三塁に。
青木毅彦
桐青高野球部の2年。対西浦戦では、ショートで打順4番。
9回の裏、桐青4番めの打席に立つ島崎は、前打席までに「まっすぐ」を4球観ている。三橋が投げる初球の「まっすぐ」をセンター前に打つが、これは、センター泉がキャッチし、青木はアウトに。
モモカン(百枝まりあ)
西裏野球部の若き女監督、23歳。「モモカン」は、西浦部員たちが呼ぶ、あだ名。
試合後、モモカンは西浦の選手たちに「勝ちはしたけどギリギリだったのはわかるよね/忘れないうちに/何が足りないのか確認しとこ!」と聞かせ、脇にいた応援団や父母会の面々を驚かせる。
仲沢利央
桐青高野球部1年生。対西浦戦では、スタメンには選ばれなかったが、控え捕手としてベンチ入りしていた。
試合後、ベンチで三橋が寝入ったところに通りかかった利央は、三橋の様子を訊ね、寝ちゃってるだけ、と訊かされる。たまたたま近くにいた田島に気づくと、どうやってシンカーを打ったのか、ほんとうに準さん(高瀬準太)のモーションを盗んだのか、など、いろんなことを訊きたくなるが、言葉に詰まると、辛うじて「オレとっメルアド交換しねぇ??」と言い、「いいけど……」と簡単に応じられる。去り際、その場にいる田島、阿部に(三橋は寝込んでる)「がんばってくださいね!/あんたらスグ負けたらウチの先輩弱いみたいだから!/たのんますよ!」と告げ、駆け去る。

第16回「ひとつ勝って」

「ひとつ勝って」は、『おおきく振りかぶって』のエピソード第16回タイトル。

三橋の家に寄った瑠理は、群馬の家に帰っていくが、帰り際、今日勝ったことを、自分で叶に伝えるように、言い置いていく。
ベッドに潜り込む三橋は、三星を止めることにした後、叶修吾が自分に向けた言葉「やめんなよ/絶対野球部 入れよ」「お前が今までやってたのは/違うんだよ/今/やめちゃダメだから!」を思い出す。

翌日、微熱を出してしまう三橋は、球技大会の日になっている学校を休む。昼休みに、花井、阿部と、同級の田島、泉が三橋家にやって来る。試合中、阿部にピッチャーを替われと言われたのに、マウンドを降りなかったことを詫びる三橋に、阿部は「アレはウソだよ」と言う。混乱する三橋に、「オレたちはふつーだよ/ふつーに野球をやってるだけ!」と、花井。
阿部たちが、学校に戻った後、“……こんなに嬉しいのが/ふつうなのか……”と思う三橋は、勝利報告の携帯メールを、叶に打つ。

一方、夜、自宅に戻った、桐青の仲沢利央は、美丞大狭山高校野球部のコーチをしている兄の呂佳に「負け犬」とあざ笑われ、「兄ちゃんが美丞大狭山のみんなでカタキとってやるから/西浦との対戦データみんなもってこい」と命じられる。

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