おおきく振りかぶって 6巻

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おおきく振りかぶって』6巻(アフタヌーンKC

ひぐちアサ

『おおきく振りかぶって』6巻は、アフタヌーンKCから刊行されている軽装版マンガ(コミックス本)。ひぐちアサ著の、高校野球を題材にした作品。

6巻では、5巻に続き、高校野球、夏の埼玉大会の2回戦、桐青高校対西浦の試合が描かれる。西浦にとっても初戦になる試合は、西浦先攻。6巻を通して3回の裏から7回の表終了時点までが描かれる。

  • 『おおきく振りかぶって』アフタヌーンKC版 第6巻は、2006年刊行。
  • 採録エピソードは、雑誌月刊「アフタヌーン」2005年7月号〜10月号掲載分がメイン。
    • 第13回「もう1点!」
    • おまけ
      著者による高校野球ミニ解説集
    • 巻末に1見開(2頁)の「次巻予告」も
    • その他=カバーを外すと、表1と表4に、おまけマンガ「応援に来ていない親たちは?」が刷られてるらしい(あらゆる刷で共通かは不明)

用語や登場人物

西浦・桐青戦
西浦・桐青戦は、西浦野球部の夏の高校野球埼玉大会初戦。この年、正式な活動をはじめたばかりの新生西浦野球部にとり、初の公式戦でもあった。一方、対戦相手の桐青は、昨年夏、甲子園に進んだ強豪校。新設西浦にもレギュラー選手でスタメンを固めてきたが。
4巻末尾で球場入りする西浦チームを描き、5巻冒頭で試合前の練習風景から描かれだした試合は、西浦先行の3回の表終了時点で、1対0。西浦は大方の予想外の先取点を獲っていた。

第13回「もう1点!」

第13回「もう1点!」では、6巻を通して、3回の裏から7回の表終了時点までが描かれる。

西浦野球部
1年生の部員10人と、やはり1年の女子マネジ1名でスタートした西浦高の新生硬式野球部。以前は軟式野球部があったが、数年間活動は休止していた。若き女監督モモカン(百枝まりあ)は、軟式時代のOG。
桐青高校野球部
野球の強豪校らしく部員数が多い。ベンチに入りきらないユニフォーム姿の部員たちが、スタンドで何列にも並び、踊り付きの応援を演じる。桐青高校は、キリスト教系の私立中高一貫校。春季県大会で勝ち進んでBシードに入っていた。
三橋瑠理
西浦の正投手、三橋廉の従兄弟。群馬の家には、中学時代の三橋が同居していた。また、瑠理の家は、三星学園の叶修悟の家の向かい。瑠理も、三橋や瑠理の弟と共に、叶とは親しい。
5巻最末尾で、小雨の降るスタンドに現れた瑠理は、スコアボードを見て、“…………/勝ってる……”と小さく驚いていた。三橋の母を見つけ、寄っていき、三橋がずっと投げていると聞き、重ねて驚く。瑠理と三橋母が会話している間に、3回の裏が終了。三橋が桐青から三振を奪うのを目の当たりにして、瑠理は三度驚く。瑠理が知っている中学時代の三橋は、試合で登板しては負けていたからだ。
実は、西浦・桐青戦は、叶が属す三星学園野球部の試合と同日だった。瑠理にしてみれば、三星の応援は、先の試合でもできるが、三橋は応援にこないと負けると予想。群馬から埼玉まで来た。しかし、前日の電話では、瑠理の何気ないセリフに、三橋は、負けはしない、という意味のことを強い語調で応えていた。三橋の強気な様子は瑠理には意外だったし、中学時代の末には、瑠理に試合に来るなと言っていた三橋が、埼玉の野球場に行く口ぶりの瑠理を拒まなかったのも意外だった。この辺は、瑠理の回想で描かれる。
  • 瑠理は廉を「レンレン」と呼ぶが、廉の方は嫌がっている。
  • 5回の裏、開始直前、グラウンドに出てボール回しをしている三橋を、スタジアムから見る瑠理。グラウンドの廉が笑っていると三橋の母に教えられる瑠理は、小学生の頃の廉が、すぐ泣くけれど良く笑う子供だった、と思い出すのだった。
三橋の母
フルネームは、三橋尚江。西浦の卒業生。花井の母と相談し、呼びかけた野球部父母会(4巻)のメンバーと共に、西浦・桐青戦をスタンドで観戦。観戦してる様子の瑠理と絡むと、三橋母の観戦不慣れな様子がわかって微笑ましい。
瑠理との会話では、三橋の母は、中学時代、廉の試合を見たことが無い様子もわかる。おそらく、ヒイキや、部での孤立についても気づいていなかったのだろう。
三橋廉
西裏野球部の正投手。3回の裏、三橋は桐青の打者3人を連続して三振にとる。しかし、これは、このイニング、徹底的に球筋を見る策に桐青が出たからだった。ともあれ、3回裏終了時点で、三橋は、通算奪7三振に。
  • 5回の表、西浦最初の打席に立つ三橋は、腰にデッドボールを受け出塁。
    続いて、コーチチスボックスの田島の指示で、2盗成功。
  • 5回の裏で、桐青に1点を返されるが、スコアは2対1。マウンドを降りてベンチに向かう三橋は、好調すぎて、鼻血を出してしまう。
  • 7回の表、西浦最初の打席に立つ三橋は、三振。
阿部隆也
西裏野球部の正捕手。阿部は、3回の裏、桐青が、あえて三橋の球筋をじっくり見にきたことに気づいている(三橋の方は気づいていない)。桐青の打者が3人とも、ベンチに戻ると、監督に長い報告をしていたことから、阿部は次のイニング、打順1番から桐青が攻勢に出てくると予想。
  • 4回の裏が終わり、マウンドからベンチに向かう途中の三橋が、小雨でできたぬかるみに滑って転びそうに。ベンチで様子を観ていた阿部は、ナチュラルハイで、オーバーペース気味の三橋を気にしていたため、顔を青くする。
  • 阿部は5回の表、西浦2番めの打席に立つ。前打席の三橋はデッドボールで一塁に出塁。モモカンからバントのサインを受け、桐青の青木が打ったゴロが止まった雨溜まりを狙ったプッシュを成功させる。結果、阿部は一塁に進み、走者一、三塁に。
  • 阿部は、5回の裏、途中から「まっすぐ」を軸に切り替えるが、その矢先、桐青の前川に打たれた犠牲フライを気にしながらベンチに戻る。
  • 7回の表、西浦2番めの打席に立つ阿部は、右中間ヒットで一塁に進塁。次打席の間に二盗。
モモカン(百枝まりあ)
西裏野球部の若き女監督、23歳。「モモカン」は、西浦部員たちが呼ぶ、あだ名。
モモカンは、3回の裏、桐青の打者が球筋を見にきたと気づく。阿部に「三振を狙っているのか?」と聞き、否定されると「ならいいけど」と言い、続けて三橋の調子を尋ねる。「調子は良すぎです」との阿部の言葉に、「私も今日の三橋君は飛ばしすぎな気がしてる」と、応える。「阿部君の裁量で1点は向こうにあげていいから/それでなんとかリードしてちょうだい!」というのが、モモカンの指示。
  • 5回の表、三橋が三塁、阿部が一塁、ワンナウトの局面。西浦4番めの打者栄口に、桐青は、スクイズ警戒態勢をひく。しかし、三橋が投手であることから3球投げ2-1の時点で、警戒を解除。4球めのストライクを見たモモカンは、すかさず打席の栄口へのスクイズと、三塁の三橋へのホームスチールのサインを出す。桐青の監督とモモカンの読み勝負が緊迫する局面。
高瀬準太
桐青高野球部員。2年生の正投手。
1回2回と調子を乱していた高瀬だが、3回からは調子を取り戻し、本来のピッチングをしていく。
  • 高瀬は、4回の表、西浦打線を三者凡退で退ける。
  • 5回の表、高瀬は西浦最初の打者三橋の腰にデッドボールを当ててしまう。これは、続く小雨に指が湿り、フォークがすっぽ抜けたため。以降、フォークの使用を止める桐青バッテリーだが、その分投球の組み立ての幅が狭まっていく。
  • 5回の裏、桐青2番目の打席に立つ高瀬は、犠牲フライで、本山を一塁から二塁に進塁させる。
花井梓
西浦の野球部員で主将。対桐青戦では、ライト。打順は5番。
花井は4回の表、最初の打席に立つが、スリーアウトにとられる。
  • 6回の表、西浦2番めの打席に立つ花井は、セカンド正面に打ち討ち取られる。
沖一利
西浦の野球部員。対桐青戦では、ファースト。打順は6番。
沖は4回の表、2番めの打席に立ち、ストレートに絞る。6番打者がストレートには併せてくる様子に、桐青のバッテリーは、変化球も積極的に織り交ぜる組み立てに変えてくることに。沖は、ツーアウトに追い込まれた直後、フォークに空振りして凡退。
  • 6回の表、西浦3番めの打席で、沖は三振。
河合和己
桐青高校3年。野球部主将で正捕手。対西浦戦では、打順5番。
沖の2度目の打席の様子を見た河合は、最初の打席でボール球を良く見たのはモモカンの統率力か、と感心。(3学年いりゃあ上が下を見れるけど1年だけってことが監督が一人で……)と、西浦ベンチのモモカンを見るが、巨乳に圧倒された感じで、見てはいけないものを見たような気分になり、目をそらしてしまう。すぐ気をとりなおし、度様子を窺うが、モモカンはサインを出し終えてしまった後だった(笑)。
  • 4回の裏、二死三塁で、2度めの打席に立つ河合。変化球のゴロ打ちを狙うが、三橋の速い球につい手を出してしまい、打ち上げる。この球はサードの田島に捕球され、チェンジに。河合は三橋のクセ球が、実は西浦バッテリーの決め球なのではないか、と疑念を抱く(桐青ベンチは、この時、カーブ狙いに絞りつつあった)。
  • 6回の裏、桐青3番めの打席に立つ河合は、一死、二、三塁の状況でバント狙い。「まっすぐ」を打ち上げてしまうが、三塁走者はホームインして同点に。河合は、アウトになるが、ますます「まっすぐ」の球筋を怪しむ。
水谷文貴
西浦の野球部員。対桐青戦では、レフト。打順は7番。
4回の表、3番めの打席に立つ水谷は、前打席に打ったスライダーを待つ構えに。粘るが、カウントを整えられた後、フォークでスリーアウトに。
  • 6回の表、西浦4番めの打席で、水谷は三振。
桐青の監督
名前は未詳。
桐青の監督は、3回の裏、4回の表と西浦の試合運びをじっくり観た後、4回の裏に入る前、デカいヒットを狙いすぎだ、ピッチャー返しを基本にゴロだけ打てと、選手たちを叱責。
コーチスボックスに入っていた控え選手(高島)は、阿部が捕球するミットが10球中10球ボールを追う動きを見せなかった、と報告。正捕手の河合は、モモカンのサインの多さ、細かさを報告、自分の配球を研究してきているのかもしれない、と付け加える。投手の高瀬は、モーションを盗まれた、と報告。序盤で気づかれる癖は無いつもりなので、自分も事前に研究されていると思うと、付け加える。
報告を聞いた監督は、内心焦れながらも、「今日の相手は、球が遅くて球種が多くて/すごくコントロールのいい投手だ」と、三橋を打ち込むイメージを、各打者が抱くよう誘導する。
真柴迅
桐青高野球部部員。対西浦戦で、ただ1人スタメンに選ばれた1年生。サードで打順は1番。
最初の打席は三球三振にとられた真柴だが、4回の裏はじめの打席では、変化球をバントでうまく転がし、一塁に進塁。真柴は脚の速さだけでなく、ベースランニングに長けた選手だった。
  • 真柴は、5回の裏、桐青5番めの打席で、前打席同様、セーフティーバントを狙うが、「まっすぐ」を打ち上げ、キャッチャーフライにとられる。
松永雅也
桐青高野球部の3年。対西浦戦では、レフトで打順2番。
4回の裏、松永の打席、出塁していた真柴が二盗成功。松永の方は、阿部のリード通り三橋が投げたまっすぐをバントで打ち上げてしまい、一塁でアウトに。この間、真柴は三塁に進塁。
  • 6回の裏、桐青最初の打席に立つ松永は、カーブ狙いを阿部に読まれ、ボールの変化球と内角の「まっすぐ」を織り交ぜられて凡退。
島崎慎吾
桐青高野球部の3年。対西浦戦では、セカンドで打順3番。
4回の裏、桐青3番めの打席で島崎は、ベンチからのサインに従い、三橋の変化球を左打ちでゴロにし奪一塁。ショートに止められたがヒットに。
  • 6回の裏、桐青2番めの打席に立つ島崎は、ストライクからボールに逃げるカーブを強引に打ち、出塁。
青木毅彦
桐青高野球部の2年。対西浦戦では、ショートで打順4番。
4回の裏、ワンナウト、一、三塁で打席に立つ青木は、バントをピッチャー前に転がしてしまうが、これが降り続いた小雨の溜まる窪みに止まる。阿部がホームに張り付き、三橋が駆け出すと、田島が的確に指示。うまい連携で、桐青は走者(真柴)がホームで刺さされる。
  • 6回の裏、桐青3番めの打席に立つ青木は、バントの構えからバスターを右中間に打つ。桐青の走者は、一死、二、三塁に。
田島悠一郎
西浦の野球部員。対桐青戦では、ショート。打順は4番。
  • 桐青の投手、高瀬のモーションのクセを把握した田島は、4回の裏の後のベンチで、モモカンに乞われ、どういうクセがあるか説明。口ではうまく説明できないらしく、高瀬を同じ背番号10の西広の背中を借りて説明。高瀬がプレートを踏んだ時、背番号のあたりに横しわが出ると牽制球を投げる前段階で、キャッチャーに投げる時は背番号の真ん中あたりに立て皺が寄る……らしい(笑)。田島自身、手で皺を再現するのは「ヒョーゲンが難しい」とボヤくし、観てたモモカンにも、よくわかんない(笑)。この後、田島は、出れる間は、一塁コーチスボックスに出るよう、モモカンから指示される。
  • 6回の表、西浦最初の打席に立つ田島は、初級を三遊間ヒットに。一塁進塁後、次打席の間に二盗。
西広辰太郎
西浦の野球部員。中学時代は陸上部に属していた野球初心者。運動神経は良いが、対桐青戦では、ベンチ要員で伝令や三塁コーチャーなどをすることに。
泉孝介
西浦の野球部員。対桐青戦では、センター。打順は1番。
5回の表、阿部の次打席、西浦3番めの打席に立つ泉。走者一、三塁の状況だが、2打席続けてヒットを打ってきたため、ストレート勝負で力押しされ凡退に。桐青の捕手、河合は、心中(これが本来の力差だぜ!)と思うのだった。
  • 7回の表、西浦3番めの打席で、泉はセカンドゴロ。
栄口勇人
西浦の野球部員。対桐青戦では、セカンド。打順は2番。
栄口は、5回の表、西浦4番めの打席に立つ。桐青は、スクイズ警戒態勢をひくが、三橋が投手であることから3球投げ2-1の時点で、警戒を解除。4球めのストライクを見たモモカンは、すかさず栄え口へのスクイズと、三塁三橋へのホームスチールのサインを出す。クロスプレーを警戒し、なんとしても当てなきゃと思う栄口だった。
  • 7回の表、西浦4番めの打席で、栄口は三振。
巣山尚治
西浦の野球部員。対桐青戦では、ショート。打順は3番。
巣山は、5回の表、西浦4番めの打席に立つが、凡退。
本山裕史
桐青高野球部3年生。対西浦戦では、ファースト、打順は6番。
本山は、5回の裏、桐青最初の打席でカーブを待ち、センター前ヒットで出塁。
  • 6回の裏、桐青4番めの打席に立つ本山は、カーブ待ちを阿部に付け込まれ、ぎりぎりの変化球と「まっすぐ」とで凡退。
山ノ井圭輔
桐青高校野球部員。学年は未詳(おそらく3年)。対西浦戦では、センター、打順は8番。
山ノ井は、5回の裏、高瀬に次ぐ桐青3番めの打席で、強く打ったゴロが、一、二塁間を抜くヒットに。これで一死、一、三塁。三塁に本山、一塁に山ノ井。
前川俊彦
桐青高校野球部員。学年は未詳。対西浦戦では、ライト、打順は9番。
前川は、5回の裏、桐青4番めの打席で、他の打者同様カーブ狙い。阿部は、本山、山ノ井とカーブをゴロ打ちされたことから、「まっすぐ」を軸にした配球に切り替える。ところが、カーブを待っていた前川があわててストレートに併せようとしたため、たまたま打球は綺麗に伸びる。前川本人は、犠牲フライにとられるが、本山がホームインして、桐青は1点を返す。
叶修悟
三星学園高等部野球部の1年生部員。西浦の三橋廉とは、小学生時代から親しい。
7回の表をスタジアムで観戦している三橋瑠理は、群馬の球場に三星の応援に行っている弟から携帯メールを受け取り、群馬大会の試合で、叶が投手として登板したことを知らされる。

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