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== 家族のそれから ==
;著
:[[ひぐちアサ]]
『家族のそれから』は、[[ひぐちアサ]]のマンガ作品。<br />作者はじめての連載作品で、[[月刊アフタヌーン|月刊「アフタヌーン」]]、2000年2月号〜5月号に掲載された。

単行本は、[[アフタヌーンKC|アフタヌーンKC]]から、2001年に刊行。

再婚したばかりの若い母親に死なれた兄妹と、後にのこされた若い義父との、ギクシャクしながらの同居生活を、コミカル味も交えて描く作品。

単行本では、連載時の区切りに準じて、第1話〜第4話の構成で採録されている。<br />単行本には、他に、著者のデビュー作『[[ゆくところ]]』も採録。

;単行本採録作
:
*『家族のそれから』第1話〜第4話で完結。<br />[[月刊アフタヌーン|月刊「アフタヌーン」]]2000年2月号〜5月号に掲載。
*『[[ゆくところ]]』<br />月刊「アフタヌーン」1998年8月号掲載の著者デビュー作。<br />[[アフタヌーン四季賞]]受賞作(受賞時は、「ひぐちアーサー」名義だった)
*他に、巻末には、あとがきに類する「読んでくれた人へ」と題された2頁が納められている。

=== 概略 ===
“母が 死んだ”<br />悪性インフルエンザで死んだ母の葬儀に、妹のメグと臨む高校生トオルは、思うのだった。

<blockquote>
母が 死んだ<br /><br />小学校教師をしてボクらを育てた頑丈だった母は<br />その年流行したインフルエンザであっけなく逝った<br /><br />親を亡くしたボクら兄妹も大変同情されたが<br /><br />悲劇の中心は<br /><br />一月前<br />周囲の(猛)反対を押し切って母と結婚した<br /><br />この男(小学校教師 26歳)<br />で あった<br />(『家族のそれから』冒頭部分より)
</blockquote>

義理の父になるケンジの世話になりたくない、と思う、トオル。

不自然だとは思っても、兄妹といっしょに住みたい、と思う、ケンジ。

「ケンジさんは/父親やる気はない/ですよね?」と尋ねるメグ。

血の繋がらない家族の、それからを描く作品。

== 用語や登場人物 ==
;家族のそれから
:タイトルが、「血の繋がらない家族の、不自然なそれから」を示唆していることは見やすい。
;ハツコさん(八木沢ハツコ)
:物語が始まる時、悪性インフルエンザで死んでいた若い母親。作品の最初の描写は葬式の様子から導入。生前は小学校教師をしていた(ケンジと同じ学校に勤務)。
:「八木沢」はおそらく旧姓(?)。物語は、2人の遺児(兄妹)と、一月前に周囲の反対を押し切って結婚した若い夫(妻より年下の26歳)の関係を巡って描かれる。
;トオル(八木沢トオル)
:17歳、高校生。<br />作品冒頭のハツコさんの葬式の光景は、“母が 死んだ”というトオルの心中モノローグが被さってはじめられる。
:トオルには、ケンジの世話になりたくない気持ちがあり、部活も止めると新聞配達などのアルバイトをはじめる。
*トオルとメグの兄妹には父親の記憶がない、とはトオルの弁。この件は、第3話で、トオルからケンジへのセリフで「つまり/父親 欲しいと思わんのです」という宣言の前振りのようにして語られる。
;メグ(八木沢メグ)
:トオルの妹、16歳。おそらく中学生。
:家事をしているメグに、ケンジが「メグちゃんはえらいねェ」と声をかけると「そういう言い方しないで!/あたし小学生じゃないの!」と怒る一幕はある。しかし、メグは基本的にはケンジとの同居を受け入れている様子で、少なくとも兄のトオルのような反発は示さない。
*単行本カバーに描かれているキャラクターが、メグ。<br /><amazon>4063142655</amazon>
;ケンジ
:小学校教師、死んだハツコさんとは、同僚だった。26歳。物語冒頭では、周囲の猛反対を押し切り、一月前に結婚したばかりのハツコさんの葬儀の、おそらく喪主。“悲劇の中心は”“この男であった”との、モノローグが被る。
:トオル、メグからは、「ケンジさん」と呼ばれている。
;「はずれた“かすがい”」
:「はずれた“かすがい”」は、『家族のそれから』第1話のエピソードタイトル。
:冒頭が、ハツコさんの葬儀の場面。次場面は、トオルが新聞配達のバイトをはじめて2週間ほど過ぎた頃に転じる。学費のことなどを考え、無茶なバイトをはじめていたトオルに、ケンジは、それくらいは、ローンなどで、なんとかできると告げる。
:級友との会話で、ハツコさんの生命保険のことに思い至るトオルは、ケンジさんに訊ねる。ケンジは、生前のハツコさんと相談していたと言い、トオル、メグ、それぞれの名義の定期預金にしてあると説明。「ハタチまでは入れとこうね」と言うが、トオルは“たぶんハタチになっても/この金は使えない/とても使えない”と思う。
;「それぞれの空回り」
:「それぞれの空回り」は、『家族のそれから』第2話のエピソードタイトル。ハツコさんの四十九日の頃、八木沢の3人は、相変わらずギクシャクしながらも暮らしている。
:四十九日の法要に、トオル、メグの兄妹とケンジを含め、十人前後ほどの親族が集まる。トオルは叔母から「あの人はどう?」とケンジのことを訊かれると、冗談めかした愚痴で応える。しかし、叔母の方はトオルの愚痴を聞き「いい人でよかったねぇ」と感涙。
:家に戻った後、ケンジが風呂に入ってる時、茶の間で「いつまでいるんだろう」と、ケンジについてつぶやくトオルに、メグは「お兄ちゃん/あたしたち未成年なんだよ/実際おばちゃんの言うとおりなのよ」と語る。
;「みえる親切みえない不安」
:「みえる親切みえない不安」は、『家族のそれから』第3話のエピソードタイトル。
:第3話は、ケンジがみる、生前のハツコさんとの夢から描きはじめられる。
:トオルの口からケンジに、兄妹に「父親の記憶がない」ことが語られる。「つまり/父親 欲しいと思わんのです」とトオル。ケンジの方はあたふたしながら、父親ぶるちもりはない、と伝えたいようだが、この様子に「じゃぁっ/なんでいるのかなぁ」と、ケンジは不満を高める。<br />そんなやりとりがあった翌日、ケンジが、高校の体育授業中、昏倒する。
;「それからの家族」
:「それからの家族」は、『家族のそれから』第4話のエピソードタイトル。
:トオルは、救急車で病院に運ばれたが、急性胃炎と貧血と診断され、数日の入院に。
:トオルが入院した日の晩、ケンジとトオルの話をしている内に、メグは「ケンジさんは/父親やる気はナイ/ですよね」と尋ねる。ケンジは、この家や、トオル、メグの兄妹は、ハツコさんに一番近い、だから、10年居させてください、とメグに頼む。
:翌日、トオルの入院先に寄るケンジは、トオルから「世話になりたくねえんだよ!!」と言われるが。ケンジの方は、腹に溜め込んでたことを言葉にすると「言っとかねーとまら胃に穴あいちゃうからさー」と言うが、さすがに気にはしている様子。<br />続けて、ケンジの方もトオルに思っていたこと、今思っていることを語り、トオルが(同情されてたんじゃなかった のか…/どーしよー…)と思うあたりにかけてが、本作のクライマックスか。
;用語や人名
:解説

== メモ ==

== 書誌情報 ==
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