ランガージュ
フランス語表記では“langage”。
「人間の言語活動、言語使用の全般」を指す。
語源は、ラテン語の“linguaticum”で、話言葉との結びつきが強い。
ソシュールの言語学基礎論(『一般言語学講義』)では、「ラング」「パロール」と共に、基本概念の1つとされた。
ソシュールのランガージュ
ソシュールの言語学基礎論では、「ランガージュ」は、「人が生得している(と想定される)言語能力(言語使用の能力)」の意味で「ランガージュ」が用いられた。
あるいは、言語記号論の本論では「人が生得している記号能力(記号使用の能力)」とも。
ソシュール理論の論理構成では、「ランガージュ」の個別の発現が、個別言語を使用する能力、と論じられた。
考え方としては、諸言語を使う人々の言語使用は、言語ごとに異なるが、その背後には生得のランガージュが想定される、という事になるはずだ。
つまり、「ランガージュ」は、誕生時には潜在能力としてあるだけだが、言語使用を通じて、言語ごとに異なる発現態で習得される、という考え方。
ソシュールは、「ランガージュ(言語能力)」を、人と動物とを区別する能力と考え、記号使用の能力全般とも考えた。
メモ
- 「ランガージュ(記号能力)」を「人と動物とを区別する能力」と考えたソシュールの考えは、現在では素朴な意見に聞こえる。例えば、チンパンジーは、しかるべき訓練をすれば、記号を使用したコミュニケーションの能力を習得する。
しかし、1916年という時期に「記号能力」というコンセプトを提出したのは、先見的だったと認められるべきだろう。