“『幼馴染みがおかゆを作りにやってきた』 / みぶろ”講評

お題『寝込んでいるところに彼女がおかゆを作りに』に寄せられた作品についての講評です。

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講評

[ENO] さて、今回は「みぶろさん」の「幼なじみがおかゆを……」ですが
[Kannna] 『幼馴染みがおかゆを作りにやってきた』(みぶろさん)>http://www.cre.ne.jp/writing/ML/log/0/85.html
[Kannna] #みぶろさん(miburoさん)のプロフィールは、こちらです。>http://hiki.cre.jp/write/?miburo
[ENO] うーんと、
[ENO] こいつは、削りすぎ、という感じがしますな
[ENO] きれいにまとまっているのですよ、会話のテンポもいい
[AKAgane] 書いてある以上に、イメージがふくらまない感じですかね
[ENO] でも、情報を削りすぎているので、なんというか、こう引っかかる部分がない、さらっと流しすぎて、興味のセンサーが受信できない
[AKAgane] えーとですね。幼なじみの不満というか、「友達でいるのも飽きた」っつうのが明らかにキモであるのですが
[Kannna] はい
[AKAgane] それまでの情報が、ここにつながってないのですよ
[NEMAHARAT] そうですよね。
[AKAgane] いろいろと情報はあるのですよ。おばさんとか、大学とか。
[ENO] 会話のやり取りから、読者は類推するしかないわけで、それを読者に求めるには、いかんせん情報が足りない
[miburo] ふう
[AKAgane] でも、それらは普通に幼なじみとしての情報であって、幼なじみが何を感じているか、何を思っているかを想像させるようなものではない
[miburo] こんばんはです。
[AKAgane] 情感につながらないタイプの情報です
[ENO] この前に、何か、この二人のエピソードでもあれば、この会話だけでも類推することは可能ですね
[AKAgane] うむ。
[ENO] 彼女の表情やしぐさ、という情動に関する情報があれば、そっけない返事の裏にある心情が読み取れるのですが
[AKAgane] こうして、オチがわかった上で読み直しても
[ENO] そういった「手がかりとなる情報」すら削ってしまっているわけで、こういう状態になると、読者はどこまで想像していいのかわからずに不安になります
[AKAgane] 見事なくらい、彼女の心の動きが、それまでの描写や台詞から伝わらない
[AKAgane] そしてそれは主人公側も一緒で
[AKAgane] どちらも、己の心を読者から隠しまくっている
[miburo] そうですね。話が漠然とした、とりとめのないものだけに、心理描写をもっと濃くすべきでした
[ENO] たとえば、この短い作品の前に、きっちりとフラグが立っているようなエピソードがあれば、そこで読者に「間違いない!」と思わせる情報が与えられていれば
[ENO] そのエピソードのしめくくりとして、この短いエピソードがついてもいい
[AKAgane] これ単体として読むと、やはりエピソード不足ですね
[ENO] たとえば、彼氏が風邪を引いた理由が、彼女のためだった、というエピソードとかがあれば、そしてそれを彼女が知って、泣いたとか、そういった「濃い」エピソードがあれば
[ENO] その締めくくりとして、この、さらっとした会話は生きてきます
[AKAgane] まあ、このふたりの関係で想像したのが、『食前絶後』のヒロインと主人公ですな。あっちは関西弁ですが。
[ENO] ええ、私も思い出しました「やなこった」というアレですね(w
[miburo] なつかし。
[AKAgane] そそ>「ああ、**さん。一緒にどこか遠くの町へ逃げようじゃないか」「やなこった」
[V-zEn] 個人的には、「踏み込まない程度の距離感」を書いたのかな、と感じました。最後のセリフの解釈に問題が出ますが。
[miburo] このくらいのさらっとさ加減で、なんとか二人の関係を伝えられるようになりたいのです。
[ENO] というわけで、読者に与える情報の分量の配分はかくのごとく難しい(w
[miburo] まあ台詞があまりにも隠しすぎというのが大きいですよね
[ENO] つまりね、お嬢様、の方は伝えるべき情報が実に多いんだ、だから、削りに削っても伝わる
[AKAgane] ネコミミメイドは、必要な情報がひとつだけだしなー
[miburo] だしとして煮込んだ材料が少ないんですなw
[ENO] でも、こっちの方は、お嬢様とかに比べると、伝えるべき情報は多くない。だからお嬢様のような感じで削ると、スカスカになっちゃうんだ
[AKAgane] そのひとつが伝われば、ちゃんと読める>ネコ耳メイド
[miburo] ええ。書く前に用意したセリフやエピソードとかも少なくて、取捨選択がないです。
[ENO] 「彼女は幼なじみである」という情報と共に「彼は彼女のことをどう思っているのか」「彼女は彼のことをどう思っているのか」を
[ENO] ダイレクトに言ったり書いたりせずに、どう伝えるか、という技巧が要求される
[ENO] その方法として、いわゆる視線とか仕草とか、そういった心情を類推させる描写が必要になる
[miburo] 三人称のほうがやりやすいでしょうか。
[miburo] 仕草視線を書くと、男はそれを認識しているということになりかねないかなと
[AKAgane] むしろ、こいつは
[AKAgane] どこまで認識してるのでしょうかね
[ENO] たとえば、この作品でも、彼女のセリフの後に、「……といって俺をにらんだ」とか「俺は気まずくなって視線を逸らした」という
[ENO] 言葉が入るだけでも、ずいぶん受ける印象は違う
[miburo] なるほど
[ENO] うん、akagane師匠の言葉のとおり、認識が定まって無いのだな
[miburo] ふうむ
[ENO] 実際には、人間なんてのは、意思決定して会話なんかしてないよ。だけど、物語においては、セリフは明確な意図の元に発せられなくてはならないんだな
[ENO] そうじゃないと、読者は何を手がかりにしていいのかわからない
[miburo] 前の二作品より男女とも不安定な感情というのも伝わりにくさの一因ですね
[AKAgane] うむ。逆にこう、そういう部分をリアルに描くにしては、ふたりの息のあった掛け合いというのはあまりに作為的にすぎる。
[ENO] あいまいにして、はぐらかしている。のならそういった意思をそのあいまいなセリフに込めなくてはならないのだ
[AKAgane] 今回のは意思のない、機械的な掛け合いですやな
[AKAgane] ああ、どうだろうか、みぶろさん。
[miburo] うい?
[AKAgane] ここは彼女も男の子にしてだな
[ENO] わははははは
[Kannna] もしかしたら、第3のキャラとか、あるいは何か2者に共通の話題の焦点が絞れてるとよかったかもしれませんね。
[miburo] ハードルがw
[AKAgane] いや、備前さんのとは逆の意味で面白いと思うのだよ。
[AKAgane] こう、マッチョな幼なじみがやってきて、アホな掛け合いしながらおかゆを作ってくれるわけじゃよ。
[AKAgane] で、最後にこのセリフがくると、実に怖くてユカイ
[miburo] ああ
[miburo] 嫌いじゃないですよw
[meltdown] メイドガイ?<マッチョな
[miburo] ひよこエプロンがみちちっとしてるわけですなw
[AKAgane] いや、『県立地球防衛軍』の主人公と同居している野郎のような感じで>マッチョ
[Kannna] 「ボクタチ友達だよね」「友達でいるのも飽きた」
[miburo] ——Tシャツの上からもわかる大胸筋、というのは聞いたことがあるが、エプロンの上からわかるというのはどういう寸法だ。
[Kannna] そこで、もう1度主人公涙目で「友達だよね」と(笑)
[shirakiya]
[ENO] うわあ
[V-zEn] 脳内にうかぶのは鋼の錬金術師のアレとか超兄貴のソレとか(笑)
[AKAgane] そういや、絶対可憐チルドレンに、鋼の錬筋術師が出たなー
[miburo] ふりかけがわりにプロテインをご飯にかけ、趣味はインクラインカール。
[miburo] そんなんいましたっけ
[AKAgane] マッスルなんたら
[miburo]
[miburo] 敵側の
[AKAgane] それそれ
[ENO] つまりは、シチュエーションもセリフもそのままで、実に面白恐ろしい短編になるわけですな
[AKAgane] とりあえず、彼女というのを、全部、彼にして読んでみようや
[miburo] 幼馴染以上恋人未満の淡い不安定な関係を書きたかったんですようw
[AKAgane] こう、デニムの奥が見えそうになると
[AKAgane] そら、目をそらすわなー
[AKAgane] オレだってそらす
[V-zEn] そらさない展開はイヤだなあ(笑)
[miburo] むしろそらさずに、モノをみてしまってウッとなる
[AKAgane] おいなりさんだー
[miburo] 「やつは本気だ」
[V-zEn] うっ が うほっ にならなきゃ問題ないね(笑)
[V-zEn] この辺で落としといたほうがよさげですかね。
[miburo] はいw
[ENO] というわけで、ここで〆ます
[ENO] 50点。
[miburo] ありがとうございました。
[ENO] 読めます、読めすぎます(w
[V-zEn] 基本的に書ける人ですからね。点は辛くなりますねえ。
[Kannna] アタシは、続き読みたかったです。
[miburo] おそれいります
[ENO] 読めすぎて、通り過ぎて行ってしまったような気分ですな(w
[miburo] 長編の緩の部分だと許されただろうかw
[ENO] この前に「濃い」部分があれば、それと対比でこれでもいい
[AKAgane] その場合も、『食前絶後』みたく、ふたりの関係よりも本筋でもっと重要な展開がーとゆー作品向けかしらん。ミステリ小説とか。
[ENO] もしくは、この後に濃い部分が来れば、その枕に使うのはいい
[miburo] はい。
[miburo] お題にはこたえきれなかった。
[ENO] そうですな、恋愛を描くのではなく、恋愛は物語の要素として描いているのならこれでもいいでしょう
[miburo] なんとかやりようはあると思うんですけどねー。

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