風の歌を聴け

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風の歌を聴け 
かぜの うたを きけ

村上春樹

『風の歌を聴け』は、村上春樹著の長編小説。

群像新人文学賞(第23回)受賞作で、著者の処女作にして初長編。
ただし、分量的には、後年の長編より遥かに短い。例えば、講談社文庫版では、本文150頁弱。短い断章を、多数続ける構成手法が採られていて、印象としては長めの中篇のようにも思える。

俗に「鼠3部作」と呼ばれることもある、初期長編3作の1つだが、「鼠3部作」は、通例イメージされるような物語内の連続性がはきりした「連作」ではない。むしろ、通例の連作と思って読むと、不整合に気づくだろう。

群像新人文学賞受賞後、1979年6月、文芸誌「群像」に受賞作として掲載された。同年、芥川賞上半期の候補作品にノミネートされたが落選。

1979年9月に講談社から単行本が刊行され、1982年7月に講談社文庫から文庫版が刊行された。
2004年9月に講談社文庫新装版が再刊された。現在、新刊ルートで流通しているのは、この新装版。

「村上春樹全作品 1979〜1989」(第1期)の第1巻が、同作と『1973年のピンボール』との合本になっている。

  • 作品の巻末には、著者による「あとがき」が採録されている。この「あとがき」は、作品本文に対するメタなテクストレベルにあるはずだが、フィクションが混入している、いわくつきの「あとがき」だ。現在まで、通例、本編の後に続けて採録されていて、事実上作品の一部であるかのように扱われている。
  • 上記、単行本、文庫版、全作品の他に、講談社から、講談社英語文庫版のアルフレッド・バーンバウム訳本が、1997年に刊行された。1998年には、同じアルフレッド・バーンバウム訳本が、講談社インターナショナルから、「Kodansha English Library」の1冊として刊行された。
  • 1981年、大森一樹監督、脚本による映画版が製作され、ATG配給で公開された。
    ただし、この“映画版”は、『1973年のピンボール』にしか登場しないキャラクターや、シーンも『風の歌を聴け』の物語に混入させた、リミックスという趣もある。当然のように、どちらの“原作”にも対応部分を見出せないオリジナル・エピソードのシーンもある。

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