社会的事実

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元々は社会学の用語。

通例、フランスの社会学者エミール・デュルケムが、社会学の研究対象を総称的に述べた概念だった、とされる。

デュルケムは「社会的事実」の研究を社会学の課題とした。

フランス語表記“fait social”、英語表記“social fact”。

デュルケムは、長い議論を通じて「社会的事実」の概念を整理したが、普通、デュルケムによる定式化は、1895年に公刊された『社会学的方法の規則』による、とされることが多い。


様々な社会的事象の内、「個人に外在的」であって、「主観的な選択や定義の産物とは言えず」「個人の言動に対し拘束性を示す」類が「社会的事実」と総称される。

つまり「ある社会の成員が、社会的に共有している行動様式、思考様式あるいは思考の傾向、感情様式などなどによって、言動に拘束を被るその拘束力(影響作用)」が、社会的事実であり、社会的事実は、ある社会の成員の社会的な言動の観察、分析を経て記述される。

デュルケムは、法規則、宗教教義、など実定化、体系化された社会的事実と、集合的に共有された、集合表象、集合観念など(社会的潮流)を区別したが、どちらの類にも社会的事実としての性質(外在性、実在性、拘束性)は共有されているとしていた。


デュルケムによる社会的事実の規定は、例えば、次のように要約整理される。

社会的事実は、個々人をその担い手とするものの個人の性質には還元できない一種独特の(sui generis)実在であり、個人にとって外在的であること、個人に拘束を課するものであること、という二つの標識によって客観的に認識されうる。この社会的事実を「物のように」(comme des choses)観察の与件とし、認識し、研究することをデュルケムは方法上の要請としている。

見田 宗介、他共編,『社会学事典』,弘文堂,Tokyo,1994.


関連人物や用語

関連人物

エミール・デュルケム
フランスの社会学者。現代的な社会学の創建者、と目されている。ユダヤ系フランス人で、ロレーヌ地方で生まれた。1858〜1917。

関連用語

メモ

  • 例えば、日本語でしばしば言われる「空気」も社会的潮流の1例であり、社会的事実の1種である。(デュルケムも、「社会的な雰囲気」を社会的潮流、社会的事実の1類に挙げている)
    「空気読め」と言われて、従わない場合を考えてみると、「あえて空気を読まない」言動をとるにしても、多少でも抵抗感が感じられれば、拘束力(影響力)を被っていると目される。

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