「武士道とは死ぬことと見つけたり」
時は寛永。佐賀鍋島藩を取り潰さんとする幕府・智恵伊豆を向こうに回し、藩存続をかけて奔走する葉隠武士達の生き様を描く。
- 著
- 隆慶一郎
用語や登場人物
- 斎藤杢之助
- 毎朝「死ぬ鍛錬」を欠かさない葉隠武士。闘うこと以外に興味も能力もない根っからの「いくさびと」。祖父,父と現藩主の父である鍋島直茂に仕えていたが、父(斎藤用之助)の代に、ある事件が元で浪人し、今も城下に住む。銃の名手だが、安全な離れたところからの狙撃は嫌い。
- 中野求馬
- 斎藤杢之助の莫逆の友。「武士の本分とは、殿に御意見申し上げて死を賜ること」と言い残して切腹した父親の言を胸に、「意見して切腹すること」目指して出世街道を登り詰めようとする葉隠武士。
- 牛島萬右衛門
- 斎藤杢之助の生涯の友。佐賀浪人で、やはり「いくさびと」。いつも大猿を連れている。
- 鍋島勝茂
- 佐賀鍋島藩初代藩主。関ヶ原や朝鮮の役を経験した「いくさびと」。杢之助、求馬双方の父親に痛い目にあっている。
- 松平伊豆守信綱
- 徳川幕府老中。将軍家光の懐刀。「智恵伊豆」として恐れられる能吏。島原の乱で鍋島藩が抜駆け(当時抜駆けは軍法に反する行為だった)をしたことを根に持ち、藩を取り潰そうと画策する。
- 用語や人名
- 解説
メモ
- 杢之助の父曰く、「奉公人の打留めは浪人と切腹に極まる」。
- 「毎日死ぬ鍛錬をする」葉隠武士達の、「じゃあ、腹でも切るかね」とあっさり死線を越えて見せる先、ある意味常識を超越した行動が魅力的な話。
- 例えば、「敵船を沈めるのに遠火筒(大砲)などいらぬ。煙硝(火薬)樽抱えて船に近づき、腹に刀刺して船腹に身を固定し煙硝に火を付ければいいじゃないか」と平然と言ってのけ、喧嘩で人を死なせた後すぐ腹を切る支度を始め、剣術の仕合で「刀が折れたら素手で、腕を折られたら肩で相手を押し倒し、のど笛喰い千切ってでも相手を倒す」を実践して仕合相手を恐怖のどん底に陥れる、など。
- 残念ながら執筆途中で作者が死去した為,未完。未完部分については,シノプシスのみが残っている。
書誌情報
新潮文庫
話題まとめ
チャットログ
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2002/04/20020412.html#200000
- 作者急逝によりいいところで未完。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2004/03/20040321.html#170000
- 作者の死後に遺稿の中から創作メモが見つかって「この後、主人公は起死回生の秘策により問題を解決」。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2005/03/20050327.html#220000
- 喧嘩をすることになった主人公達が、相手の目の前で座り込むとおもむろに粗砥を取り出して刃をあわせるシーンがある
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2004/10/20041031.html#210000
- 惜しい人を亡くしました。