モダンホラー。桜の木の下から憑いてきたものに追われる話、憑かれた男が殺人を繰り返す話、ネコマタが霊の集合体を追い払う話、悪夢に憑かれた男と事件の真相の解題、という構成。それぞれ主人公は別の四本の連作短編で、一連の事件となっている。
- 著
- 竹河聖
戸倉恭は、ガール・フレンドを待っていた。午後三時に桜の大木の下で会う約束であった。降り続いている柔らかな春の雨は墨絵の世界を現出し、薄桃色の花弁舞うその大木の下には僅かな闇が広がっていた。既に二時間が過ぎた。恭が思っている程、真珠美に気がないのはわかっている。それにしても…。その時、恭は笑い声を耳にした。男か女かもわからない小さな声。突然、高らかな哄笑の渦が恭を取り囲む。身の毛がそそけ立つ。何かが存在する気配…。笑い声は確実に増え続けている。桜の大木の薄闇の中にそいつはいた。そして、近付いてきた。まるで、滑るように…。日常と非日常の狭間に存在する恐怖を描くモダン・ホラー小説。
用語や登場人物
- 高見沢陽平
- 坊さん崩れ。事件の収拾役。
- 用語や人名
- 解説
メモ
- 『闇と魔の環』を改題。
- ネコマタのバトルは、なかなか良かった。ネコらしいとこも。
書誌情報
桜闇のロンド
角川文庫 1992年10月
闇と魔の環
角川ノベルズ 1990年05月