ぼくのわたしの実作手順、大公開。椎出啓の場合

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椎出啓は如何にして親子丼を書くか。

序論

21:01 >SiIdeKei< #ふと思った。『どーやって親子丼書いてるんですか?』って聞かれたら、今度から『ネタがこうスッと来るだろ、そこをグゥーッと構えて指をガッとする。あとはバァッといってガーンと書くんだ』って答えよう(笑)

半分本気である。
ちっとも参考にならない男だ。 参考ログ(#もの書き 2005/11/09 21時ごろ)

モチーフと登場人物の明確化

まずは、キャラクターを考える。 これは『人がいるところにドラマがある』『人がいないドラマは、観測されないドラマ、すなわちないのも同然のドラマ』という個人的な考えによる。 見た目、基本的な性格、などなどを適当にエディタに書き散らしていく。 たとえば、以下のように。

鳳仙花(ホウセンカ)
M1928軽機関銃『シカゴ・ピアノ』を持った、ワイシャツ黒ネクタイ黒スラックスの、おっぱい少女。ワイシャツの襟には赤い花の刺繍が施されている。
気が短くトリガーハッピーであるが、アイスクリームを食べると、脳みそがとろける。
あだ名は『ホウ』
花言葉は『私に触れないで』

モチベーションを高めるためか、女性キャラの設定の際には、何故か胸などの大きさが必ず記述される。サイテーである。 なお、こういった設定書きを全く書かずに、いきなり本文を書き始めることもある。親子丼などがその例である。この場合、脳内で簡単な設定を考えておいて、本文を書きながら設定を煮詰めていく。

プロットの構築

椎出啓は、基本的に長い文が書けない。そのせいか、プロットもあまり書かない。プロットを書くだけで疲れるからである。 ただ、書きたいシーンを強くイメージしておく。どのような光景で展開されているかをイメージしておき、そこへ物語を導いていくようにする。 たとえばはつゆきの場合は

「神菜、疲れてないか?」
「ん、別に?」
「嘘言え。慣れないブーツなんか履いてくるから、足痛いんじゃないのか?」
「そうかな?」
「そこ座れ。見せてみろ」
 そう言って叔父さんは、あたしをベンチに座らせ、その前にひざまずいて、あたしのブーツを無理やり脱がした。
 ふと気が付いて、スカートを押さえる。
 中、見えなかっただろうか?
 いや、それよりも。
 この構図は、ちょっとまずいんじゃないだろうか。
 叔父さんとデートしている時点でまずいんだけど、血縁関係を抜きにしても、この構図はまずい。
 どうみても……変。あるいは、変態。

「ケーキも食べたい、あたし」
「はいはい。神菜の味覚は、お子様だな」
「チーズケーキだもん、レアの。オトナの味よ」
「いや、それはどうかと思うぞ?」
 そんなことを言いながら、あたしと叔父さんはバス停の近くにある、お気に入りの喫茶店へと向かう。
 ふと、視界に白いものが見えて。
 見上げれば、また雪が舞い始めていた。
 雪がそっとあたしに近づいて──頬に触れる。
 少しひんやり。
 その感覚は、ちゃんとあたしの心に残って。
 今年の初雪は『冷たくて』。
 二番目の雪は、ひんやり。
 _______________
 ___________________________
 二番目の雪が、あたしの初雪。

以上のシーンははじめから強くイメージして書いているが、それ以外はほとんど考えてはいない。

書き出し方

そんな調子なので、書き出し方もかなりいい加減である。 ただ、本文の第一行には気を遣う。『なんじゃそりゃあっ!?』『そこからどーするんだ!?』と思わせるような第一行にするように心がけている。 たとえば27センチのメイドさんでは

「どうだ、萌えるだろうっ!」
「どうだっ、って……それ、クサカンムリのほう?」
「ヒヘンだったら困るじゃないか」

親子丼では

「親子丼ってさー」
「なんだよ、黙って食べろよ」
「本当に親子だったのかな?」
「はぁっ!?」

これは『一行目が面白くないと続きを読む気がしないよねー』という思い込みによるものである。基本的に飽きっぽい性格なので、いきなり飽きてしまうのがイヤらしい。

しっかり見直し

書き終わったあとは、最低一度、最初から通して読んでみる。本当は音読したいのだが、一人きりの部屋でぶつぶつ呟いているビジュアルはあまり健全に見えないので、黙読が中心である。 読むときは、少し速めに。けれども斜め読みはしないように。 そのとき、脳が受け入れないような流れがあるようなら、読むときに引っかかるような言い回しがあるなら、その前後を修正する。接続詞や助詞の手直しが主。

終わりに

作業は、すべてテキストエディタで行っている。カット&ペーストが自由に出来るので、書いている内容の順番を簡単に入れ替えできるからである。
設定を書くためにMicrosoft OneNote紙2001Kacisを試したりしたが、結局テキストエディタにかえってきている。煩雑な操作をしないで書ける、という点が重要なのかもしれない。
そして今、椎出はMicrosoft Word 2004 for Macを手に入れた。Mac版のみに実装されているノートレイアウトモードが、ネタを書き留めていくのに非常に都合がいい。MacOS Xを使っている人にはお勧めである。問題はやたらと高いこと。
あと、結局戯れ言にすぎないので、このWikiページの内容を参考にすることはお勧めしない(笑)

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